第465話 黒き燃えカス

俺は今雪山を登っている。

段々と天候が悪化してきている気がするが、俺って雪山なんか登れたっけ。


「カ、カツラギサン、チョウゼツって言うのはイッパイすごいって言うイミデス」

「うん、それは分かるよ。そこまではね」

「ハイ、ソウデスヨネ。シンジカワッテクレ………」

「おいっ!隼人。俺?」

「うん、真司くんも知ってるんだよね。お願いしていいかな」


今日はしばれるな〜。雪山だから当たり前だけど、このままだと凍傷になりそうだ。

雪山の空気は澄んでいる。澄んでいるけど空気が冷たい。呼吸をすると肺が凍りそうになってしまう。

今日は頂きまでたどり着く事ができるかなぁ。


「あ、ああ、あのですね、葛城さん………………」

「しんちゃん!しっかりして!どうしたの?」

「ああ、悠美ダイジョウブダ。リアとはリアルの省略系デス」

「うん、そうだよね」

「ハイ、ソシテ充とは充実とか充実組の略デス」

「うん」

「ツマリ、スゴく、リアルが充実している黒い彗星と言うイミデス」


あ〜今日はもうここまでかな〜。

雪山の頂を目指していたはずなのに全く先が見えなくなってきてしまった。

ビパークしないといけないかな〜


「つまり海斗がダンジョンで凄くリアルが充実してるって事だよね」

「………ハイ、ソウデス」

「充実って何が充実してるのかな」

「……………ソ、ソレハ」

「しんちゃん本当の事を言って」

「パ、パーティメンバーが………デス」

「それって海斗がダンジョンで女の子を………って事?海斗そうなの?」


あれ?吹雪の中誰かに呼ばれた気がする。

春香の声だった気もするけどきっと気のせいだ。

もう今日は眠った方がいいかな〜


「……と、海斗!」

「え?あれ春香?どうしてここに?」

「海斗、説明してもらえるかな」

「え?何を?」

「もちろんパーティメンバーについて」

「…………………うん」


別に隠してた訳でも無いし、何もやましい事がある訳でも無いので全く問題は無いのだが、ブリザードの影響で口の中まで凍ってしまい言葉がうまく出てこない。


「葛城さん、海斗のパーティは7人と1匹のパーティなんだ」

「うん、それは海斗からも前に聞いたよ」

「それで3人は海斗のサーバントでそのうちの2人が美幼女なんだ」

「美容嬢?」

「いや美幼女。俺達も一緒に潜った事があるけど滅茶苦茶強いんだ」

「美幼女……。そう、それで超絶リア充なのかな」

「…………………」

「は、はるか……別に隠してた訳じゃ無いんだけど、俺のパーティは女の子比率が高いんだ……でも別に何も無いよ。本当に」

「海斗、女の子比率が高いってどのくらい?」

「え〜っと、俺とサーバントのベルリアとカーバンクルのスナッチ以外です」

「それって、女の子が5人もいるって事?」

「うん、まあ、そう」

「…………全員美幼女なの?」

「3人は普通です」

「もしかしてそれで、毎日ダンジョンに潜ってたの?」

「いやいや、違うって。半年前までずっとソロだったから。ソロでも毎日潜ってたからそれは関係無い」

「3人は美人なの?」

「え?まあ……一般的にはそうかも」

「……………海斗のタイプだったりするの?」


今度は何だ?雪山に突然クレバスが現れた。踏み外せば死ぬ………


「全くそんなことあり得る訳ないだろ。タイプとかそんな風に考えた事は一度も無いよ。働いた事ないけど、会社の同僚というか同志みたいな感じだよ」

「じゃあ、好きとか付き合ってるとかじゃないの?」

「そんな事はあり得ない。俺の命を賭けてもいいけど絶対にないです」

「…………」

「春香、高木くんがここまで言うって事は嘘じゃないと思うよ」

「……うん、そうだね。それじゃあ一つだけお願いがあるんだけどいいかな」

「ああ、うん何でも言って下さい」

「じゃあ、今度海斗のパーティメンバーの人達に会わせて欲しいの」


………ドウシテ

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