第435話 遭遇
ジュースを飲みながら園内を回って見たが、どのアトラクションも混んでいるので、今のうちに早めのランチを取る事にした。
「どこが良いかな」
「天気がいいから外でもいいと思うけど、せっかくだからラッターレストランとかはどうかな」
「じゃあ、そこにしようか」
ラッターレストランとは名前の通りレストランの中にラッター達が出没すると言うラッターファン垂涎のレストランらしいがもちろん俺は行った事はない。
しばらく歩いて行くとラッターの大きなオブジェが飾ってあるラッターレストランに着いた。
「そんなに混んで無いし、座れてよかったね」
「多分あと30分程遅いといっぱいになってたと思うよ。私ちょっとお手洗いに行ってくるね」
「うん」
春香が席を立ったので周りを見てみると、レストランは今お客さんが大体7割ぐらい入ってる感じだが、カップルとファミリーばっかりだ。
1人で座っているとなんとなく気後れしてしまい、居心地が悪いので気を紛らわせる意味合いもあり周りをキョロキョロと眺めていると
「おい、高木じゃ無いか?」
「え?ああ、天堂か?」
突然名前を呼ばれてドキッとしてしまったが、声の方を見ると1年生の時に同じクラスだった天堂翔が立っていた。
「やっぱり高木か。なんか服のイメージが違うから別人かと思ったけど、1人でキョロキョロしてるのがいるから気になって見てたら高木っぽかったからな」
「ああ、俺このレストラン初めてだから」
「高木は1人で来てるのか?俺は彼女とデートなんだ」
「ああ、そうなんだ」
天童の隣を見ると同い年ぐらいの女の子が立っているが、見た事ないので同じ高校では無いのかも知れない。
「こっちが俺の彼女の玲。こいつ1年の時に同じクラスだった高木」
この言い方だと同じ学校なのか?
「ああ、よろしく。高木です」
「こんにちは。高木君の事学校で見たことあるよ」
やっぱり同じ高校か。余計な事を言わないで良かった。
「高木はまさか1人でここに来てるのか?お1人様ってやつか?」
「い、いや1人では」
「高木〜、男1人で来てるからって恥ずかしがる必要は無いだろ。人には言えない趣味とかもあるよな。高木はラッターが好きなのか」
「特にラッターが好きと言う訳では無いけど。来たのも今日で2回目だし」
「いいって、学校では言わないでおいてやるから任せとけ」
「本当にそんなんじゃ」
「別に1人でもいいとは思うけど、やっぱりこう言う所は彼女と来た方がいいよな玲」
「それは彼女がいれば一緒に来た方が楽しいとは思うけど、彼女がいない場合はねえ」
「ああ、すまん。悪気は無かったんだ。ただ俺も玲と付き合いだして初めてのラッターランドでテンションが上がってたんだ。悪い」
「いや、別にそれはいいけど」
まあ、2人共デートで楽しそうだし、俺に彼女がいないのも事実なので特に言う事はないが、何と無く負けた感がある。
確か天堂も1年生の時は彼女はいなかったはずだ。
この1年の間に差がついてしまったのか………
「海斗、お待たせ」
「ああ、全然待って無いよ」
「へっ?え?葛城さん?」
「春香、同じ高校の天堂とその彼女の玲さん」
「あ、海斗と同じ5組の葛城です」
「ああ、葛城さんの事はもちろん知ってるけど、葛城さんがどうしてここに?」
「それは海斗と一緒に遊びに来てるからだよ」
「海斗って高木?だよね」
「もちろんそうだよ」
「え?葛城さん高木とラッターランドに遊びに来たんだ。2人っきりで?」
「うん、そうだけど」
「え?高木1人で来たんじゃ無いのか?」
「いや、だから1人で来たなんて一言も言ってないだろ」
「あ、ああ、そうだったか」
天堂は春香と俺が一緒にラッターランドに来たのが信じられないのか憮然とした顔で俺と春香を交互に見てくる。
「葛城さんが………」
「翔、もういいでしょあっちに座りに行くよ。高木君、葛城さんそれじゃあまたね」
天堂は後ろ髪を引かれるように何度もこちらを見ながら彼女に連れられて行ってしまった。
俺と春香の組み合わせがそれ程インパクトがあったのかもしれないが彼女を連れてラッターランドに来ている奴にそんな顔をされる覚えは無い。
玲さんと春香を比べる事は出来ないが、彼女がいると言う時点で天堂は勝ち組だ。
羨ましい……
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