第436話 昼食

「やっぱり他にも来てる人いるんだね」

「ああ、びっくりしたよ。急に声かけられたんだけど俺は全然気がつかなかった」

「海斗の場合、隣のテーブルに学校の子がいても気がつかなさそうだけどね」

「いや、さすがに隣は気がつくと思う。それより注文何にしようか」

「う〜ん、いろいろあって迷うけど私はこのラッタッタセットにしようかな」

「あ〜それもいいけど俺にはちょっと少ないから俺はラッタービッグバーガーセットにするよ」


注文を決めるまでは結構時間がかかったが、注文を決めてからはすぐ料理が運ばれてきた。


「おいしいそうだね」

「ラッターバーガーってバンズがラッターの形なのか。女の子受けしそうだけど、ちょっと恥ずかしいな」

「そんな事ないよ。じゃあ食べる前に写真撮るね」


そう言って春香がスマホで俺のラッターバーガーと俺を写真に収めてくれた。


「そう言えば今日は、あの大きいカメラじゃ無いんだね」

「あれは乗り物に乗るのに邪魔になっちゃうから、今日はスマホで。まだあんまり写真撮ってないからご飯食べたらいっぱい写真撮ろうね」

「うん、お願いします。じゃあそろそろ食べようか。いただきます」


初めて食べたラッターバーガーは大きいだけで、普段食べるとそれ程美味しいとは感じないレベルの食べ物だったとは思うが、春香と一緒に食べている今は本当に美味しく感じてしまう。

俺の舌が単純なのか春香と一緒にいれば何でも美味しく感じるのかもしれない。

俺も春香がラッタッタセットを食べているのをスマホで写真に収めたが、かわいい………


「この後どうしようか」

「うん、朝予約したヘブンズフォールラッターに行こうと思うんだけど」

「ああ、朝スマホで予約してたアトラクションか。じゃあそれ行こうか」


食事を終えて席を立とうとする頃には、既に待ちの行列が出来ていたので早めに入ったのは正解だったようだ。

マップッで確認するとヘブンズフォールラッターは1番奥にあり、結構歩かなければならないようなので食後の運動に丁度良さそうだ。


「春香は次のアトラクションに乗った事あるの?」

「私も初めてだよ。去年新しく出来てすごい人気みたいだから」

「そうなんだ。それは楽しみだな」


15分程歩くとアトラクションの全景が見えてきた。


「あ、あれ?あれがエンジェルフォールラッター?」

「ううん、あれがヘブンズフォールラッターだと思う」

「…………」


目の前に広がっていたのは巨大なジェットコースターのレーンだ。正直エンジェルだろうがヘブンズだろうが関係無いレベルででかい。


「なんか大きく無いか?」

「うん、ラッターランド最大だって」

「なんか高く無いか?」

「うん、日本最大級の高さと落差があるんだって」

「朝に乗ったゴッドサンダースプラッシュより大きいよね」

「うん、当社比2倍みたいに書いてたと思う」


当社比2倍って洗剤とかじゃ無いんだから………


「春香、結構激しそうだけど大丈夫?」

「うん、大丈夫。楽しみだね〜」


どうやら春香は絶叫系の乗り物は全然大丈夫のようだが、今過ぎ去って行ったジェットコースターは足が宙ぶらりんでぐるぐる回っている。

TVであんな感じのコースターを罰ゲームとかで乗ってるのを見た事がある気がする。


「それじゃあこっちだよ」


春香に案内されて、スマホ画面を提示すると行列が出来ている脇を抜けてすぐに搭乗口まで辿り付く事が出来た。


「皆さ〜ん、これから天国体験で〜す。今までにない新しい世界への扉が開きます。レッツラッターでスタートします。それでは、ひとときのヘブンズフォールをお楽しみください」


キャストの人の案内で乗り込む事になったが、なぜかまた一番前だ。

しかも足がぶらぶらした状態だが、本当にこれで大丈夫なのか?

そもそも靴って脱げたりしないのか?


「それでは皆さん、レッツラッター!」

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