第434話 ラッターシップアドベンチャー

「最初にジェットコースターに乗ったから次はこれにしようよ」


春香がマップで勧めて来たのは、ラッターシップアドベンチャーと言う2人乗りの小型の船に乗りながら、海賊を倒して行くと言うシューティングゲームアトラクションだった。


「ああ、これだったら俺結構得意かも」

「私もこのアトラクション何度かやった事あるから競争しようか」

「それじゃあ、得点が低い方がジュースを奢るのでどう?」

「うん、それいいね。海斗には負けないよ」


10分程歩くと目的のアトラクションに着いたが、やはりここでも30分程の待ち時間があるようだ。


「やっぱりどのアトラクションも行列だな〜」

「ここは、まだいい方だよ。スマホで予約したところは、普通に並ぶと90分待ちになってるよ」

「人気なんだな〜。どれを予約したの?」

「それは、行ってみてのお楽しみだよ」


まあ、ラッターランドで人気のアトラクションならどんな乗り物でも楽しいのは間違い無いだろう。

さっきのゴッドサンダースプラッシュは強烈だったが、遊園地もいいもんだな。

映画館は暗いけど明るいところでこうして春香と2人で並んで待っているのは至福の時と言っても過言ではない。

順番が来たので乗り込むが今度のアトラクションは水流で流れて行くようだ。

乗り物に固定された銃で通過して行く海賊に向けてトリガーを引く。


「あっ。結構難しいなぁ」

「海斗タイミングだよ。先に敵を確認しておいて来たら撃つんだよ」

「それは分かってるけど」


思ったよりも難しい。

撃つタイミングが遅いのか思ったようにカウントされない。

魔核銃やドラグナーで銃には慣れているので、こういったのには強いかと思ったが勝手が違う。

襲って来るわけでは無いのでプレッシャーは無いが、2発撃って1発カウントされる感じだ。

今のカウントは15なので普通ぐらいだろうか。


「ガコンッ」


乗っている船に振動があったと思ったら今度はスピードが増して来た。


「スピードアップした?」

「さっきまでがちょっと登りでここから下りになったんだよ」


ジェットコースターのようなスピード感は無いが、体感だとさっきの倍ぐらいの速さが出ている気がする。

スピードが増した分さっきよりも当たり難くなりカウントのペースが明らかに落ちてきている。

焦って何度もトリガーを引いてみるが、連続で引いても撃ち出すペースは変わらないのかカウントのペースが上がる気配はない。

最後に海賊の船長らしきのが出てきて、飛んだり跳ねたり動き回っているのを狙って撃つがなかなか当たらない。

数十回撃ったうちの何発かは当たったとは思うが、最終的なカウントは62で最終地点に到着した。


「海斗、どうだった?私結構上手く出来た方だと思うな」

「俺は62点だったけど、春香は幾つだった?」

「私はね〜105点だったよ」

「105点!?」


下手をすると俺の倍近いカウントに驚いて春香のカウンターを覗き込んでしまったが、そこには確かに105の数字が表示されていた。

負けた……

俺の得意分野だと思ったのに圧倒的に負けた……


「私何度かやった事があるから。初めての時は私も50点ぐらいだったし」

「初めてっていつ頃の話し?」

「多分小学校の1年生の時だったと思うんだけど」


確かに初めてと言うハンデがあったのは確かだと思うが、小学1年生の春香とほぼ同じ点数とはショックだ。

俺が下手なのか春香が上手いのか判断し辛いが探索者としてこのまま終われない。

流石は春香だが今日中になんとか挽回したいところだ。


「ジュース何が良い?」

「それじゃあ、ラッタースカッシュでお願いします」


勝負に負けた事は間違い無いので潔く春香にジュースを奢るが、ラッタースカッシュ思ったより高いな。

普通のカップに入ったジュースが650円もしていた。

俺も自分のを買って一緒に飲んだが流石はラッターランドだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る