第410話 ダンジョンバーベキュー
俺は今1階層の端でバーベキューの準備をしている。
ペガサスのモンスターミートを手に入れたが、ルシェまで食べさせろと言って来たので、前回ミクに連れて行ってもらったお店に持ち込む事は出来なくなってしまった。
ルシェ達に食べさせる為には、ダンジョンで食べるしかないので、他のメンバーと相談した結果1階層でバーベキューをする事となった。
場所はいつも俺が訓練に使っている場所なので、ほとんどスライムが出る事も無いが、最悪スライムが出現したとしても今の俺達ならバーベキューをしながらでも問題ないだろう。
ただ誰もバーベキューセットなど常備していなかったので、探索を適当なところで切り上げてホームセンターとスーパーに買い出しに行く事になった。
俺はペガサスのモンスターミートだけでも良かったのだが、女性陣がどうせなら他の食材も欲しいと言い出したので野菜とシーフードも買い足した。
ホームセンターに行ったら、バーベキューがブームなのかバーベキューコーナーがあり、炭火を使う様な本格的なバーベキュー用品が色々置いていたが、メンバーに聞いたら誰もバーベキュー経験者がいなかったので本格セットは諦めガスコンロタイプの誰でも使える物を購入してから再びダンジョンに戻った。
「別にダンジョンでバーベキューしちゃダメとか無いよな」
「多分大丈夫じゃない。キャンプする人達ってバーベキューじゃないにしても調理とかするでしょ」
「そもそもダンジョン内のバーベキューを想定した規定なんか無いんじゃないか」
「そうですね。まあ大丈夫ですよね」
色々買い込んだ後で気になってしまったが、ダンジョンでバーベキューしても怒られないだろうか。今更聞きに行くわけにもいかないのでさっさと始めてしまおう。
「焼肉のタレでいいよね。適当な大きさに切ってとにかく焼いちゃうか」
「………………」
「みんなどうかしたの?」
「………………」
「なんで無言なんだよ。俺何かした?」
「できない………」
「何が?」
「切るのができない」
「もしかして全員?」
「………………」
完全に盲点だった。みんなバーベキューだけじゃ無く料理自体が出来なかったのか。
そういえば3人共お嬢様だった。それでか………
俺しかいないよな。俺だって料理なんか普段した事がない。カップ麺ぐらいしか作った事が無いがやるしか無い。
意を決して食材を切る準備をしていると
「マイロード、よろしければお手伝いしましょうか?」
「え?ベルリア料理できるのか?」
「料理が出来るというほどではありませんが、切るぐらいであれば包丁も短剣を使うのとそうは変わりませんので問題ありません」
確かに魔法を斬る程のベルリアなら肉や野菜を切るぐらいわけ無い気がする。
「それじゃあ、悪いけど肉と野菜を切ってもらっていいか?大体一口サイズぐらいで頼む」
「お任せ下さい」
ベルリアが食材を準備している間に俺達はセッティングを済ませておく。
流石にテーブルセットを持ち込む事は難しかったのでレジャーシートを床に敷いて真ん中にコンロを置いて、紙皿を人数分並べて紙コップに買ってきた麦茶を注ぐ。
「マイロードいかがでしょうか?」
ベルリアが準備を終えた様なので食材を見ると、全ての食材が定規で測ったかの如くきっちりと同じ大きさに切り分けられていた。
もはや達人級と言っても過言では無いだろう。
まさか剣の道が料理の道へと通じているとは思いもよらなかったが、今回は非常に助かったので今後ベルリアは料理番に決定だ。
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