第411話 馬肉
「馬肉は馬刺しが1番じゃないでしょうか?」
「……馬の近縁種には違いないと思うけど、この肉って生で食べれると思う?」
「いける……と思うのですが」
「いや、焼いた方がいいと思う。寄生虫とかモンスター特有の病気とかあったらやばいと思う」
「そう……でしょうか」
「カオリン馬刺し好きなのか?」
「はい」
「……今回は諦めよう」
カオリンは馬刺しを食べたかった様だが、このドロップした肉を生で食べようという発想は俺には無かった。
やはり食欲は全てに勝るのかもしれないが、ある意味すごい。チャレンジャーだな。
「それじゃあ、順番に焼いて行くよ」
ベルリアが綺麗に切り揃えた食材を俺がカセットコンロの網にのせていく。
「ジュ〜ッ!」
食材の焼ける音と共に食欲をそそる良い匂いがしてきたが特に肉の匂いがすごい。普通の焼肉でもいい匂いはするがこれは違う。匂いだけでもご飯が食べれそうだ。人間の本能に働きかけてくる匂い。食べたいという欲求がくすぐられる。
「海斗、もういいだろ!食べるぞ!」
「いやまだだ。どう見ても生焼けだろ」
「別に生焼けでもいいんだよ。早くわたしの分をとってくれよ」
ルシェの分を俺が取り分けるのか?まあいいけど………
少し焼きが甘いかとも思ったが、ルシェがしつこくせがんでくるので、焼いた肉を取り分けてやった。
「ほら食べていいぞ」
「う〜う〜う〜」
「どうなんだ?焼けてなかったのか?」
「もっとくれ!」
おかわりって事はうまいのか。それにしてもルシェのボキャブラリーの無さは酷すぎる気がする。
う〜う〜う〜ってなんだ。うまいですらない。
「あの、ご主人様私にも……」
「ああ、シルにも取らなきゃな。ほら食べてみろ」
「んふ、んふ、んふ」
「どうだ?美味しいのか?」
「んふ、んふ」
シルも夢中になって食べているので旨いのは間違いなさそうだが、んふ、んふってちょっと可愛いけど意味が分からない。
俺は全員分を取り分けて、更に追加で肉を網に並べてから自分の分にも手をつける事にした。
やはり最初はモンスターミートからだろう。馬肉の焼肉ってあまり聞いた事が無いけど、どうだろうか?
焼肉のタレにつけてから口の中に運ぶ。
これは!
明らかに牛や豚とは違う味わいだ。もちろんウーパールーパーとも違う。
噛んだ瞬間に肉の旨味が口の中に広がってくるが、脂身は無いのでしつこい感じは一切ない。
肉本来の旨味というのだろうか?柔らかいが、しっかりとした噛みごたえを残しつつ噛むほどに旨味が増す感じだ。
濃厚なスープの様な肉汁と脂身が無いのに何故か和牛よりも甘味を感じる。
和牛など数えるほどしか食べた事は無いが、その時覚えた感動を上回っている。
肉って旨い!そう叫んでしまいそうになるほどの美味しさだ。
よく箸が止まらないといったりするが、今の口の中の旨みを逃したく無くて次へと箸が運べない。
他のメンバーを見ても一様に幸せそうな表情を浮かべている。
2切れ目の肉を口に運ぶと、更にフレッシュな肉の旨味が口に広がってきて美味しい。
おそらくフレンチで食べても物凄く美味いとは思うが、素材の味を最大限活かした、バーベキューというスタイルは最高に美味しいのでは無いだろうか?
「もっとくれ!肉だけでいいぞ肉だけな」
「他のも食べろよ」
「わたしがモンスターミート以外食べれるわけ無いだろ」
そうなのか?悪魔は魔核とモンスターミートしか食べる事が出来ないのか?
「ご主人様私にもお願いします。お肉だけお願いします」
シルもか。やっぱりサーバントはモンスターミートしか食べれないのか?
「海斗さん私にもお肉をお願いします」
「海斗私にも、お肉ね」
「海斗、私にも、肉をお願いしていいだろうか」
これはあれか?肉が美味しいからみんな肉だけ食べたいというだけなのか?
野菜もシーフードも買ってきたんだからしっかり食べて欲しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます