第353話 浪漫武器

昨日は本当に楽しかったが今日は春香に俺の買い物に付き合ってもらっている。


いつものように駅で待ち合わせをするが、先に春香がついていたようだ。


「おはよう」


軽く手を挙げて声をかけたが、何故か春香の視線が俺の目では無く手に集中している気がする。


「どうかした?」

「ううん、今日は指輪してないんだなと思って」

「ああ、昨日は、外し忘れただけで、マジックアイテムだからダンジョンでしかつけないんだ」

「そうなんだ」


一瞬春香の表情が曇った気がするが、俺は特に何もしていないので気のせいだろう。

指輪と言われて気がついたが春香は昨日の指輪をそのままつけてくれていた。

気に入ってくれたようで良かったと思う。それと昨日は気がつかなかったが前にプレゼントしたブレスレットも右手首につけてくれていた。

どちらも本当に良く似合っているので贈った甲斐があったという物だ。


「それじゃあ、ダンジョンマーケットに行こうか」

「今日は何を買うの?」

「この前一緒に見たショットガンを考えているんだけど」

「まさかあの350万円の!?」


春香の驚きも仕方がない。流石に350万円有れば外車が買えそうだ。普通の高校生が買える金額じゃないもんな。


「そう。値段が値段だから迷ったんだけど、ちょっと状況が変わってしまったんだよ。どうしても装備をバージョンアップしたくて」

「お金は大丈夫?」

「それは大丈夫。大学の学費もしっかり貯めれたし問題ないよ」

「そう。大学はお金だけじゃ無くて受からないと入れないから頑張ろうね」

「ああ、絶対に王華学院に受かってみせるよ」


俺がそう宣言すると春香が満面の笑顔を浮かべてくれた。

少なくとも一緒の大学に行く事を嫌がられていない事だけは間違いない。

やはり命に変えても王華学院に合格しなくてはならないと心に決めた瞬間だった。

それからダンジョンマーケットに行きいつものおっさんの店に向かった。


「お〜坊主今日はいつもの別嬪な彼女と一緒か。忙しい事だな」

「あ〜武器を見せてもらって良いですか?」


おっさんの言葉尻に悪意を感じる。


「武器?魔剣は持ってるんだろ。他に欲しいもんなんかあんのか?」

「この前見せてもらったショットガンあったじゃ無いですか」

「あ〜あれか。ちょっと待ってろ」


おっさんが奥に下がってから銃を3つ持ってきた。

2つは見覚えがある

前に見せてもらったショットガンとランチャーだ。もう一つは見た事がないが、なんか形が格好いい。


「これは何の銃ですか?形も見た事無い感じなんですが」

「お〜やっぱり興味を示したな。これはな聞いて驚けよ、浪漫武器だ!」

「は?」


おっさんがおかしくなった。いや俺の耳がおかしくなった。何か浪漫武器と聞こえた気がする。

浪漫武器?意味が分からない。


「だから浪漫武器だって言ってるだろ〜が」


やはり浪漫武器であってるらしい。


「浪漫武器ってなんですか?」

「まず見た目だ。ファンタジーな感じでカッコいいだろ!」

「まあ」

「次にこの銃だが燃費がすこぶる悪い」

「え………」

「そして魔法が使える奴しか扱え無い」

「そんな事あるんですか?」


おっさん、この銃のデメリット以外喋って無い気がするが大丈夫か?


「お兄さん、この銃って良いところあるんですか?」

「おう、嬢ちゃん鋭いな」


いや誰でも感じる疑問だろ。


「まず発動時のエフェクトがイケてんだ!魔法属性毎のオーラと言うか発光すんだ。スゲーだろ」

「はい。すごいんですよね?」

「そしてこの銃はな、バレットと魔核と魔法を消費して撃ち出すんだ。まさにトリプルアタックだ!スゲ〜だろ」

「すごい?ですか?」

「お〜よ。3つを一気に消費する代わりに威力は格段に跳ね上がるんだぜ。最高〜だろ」

「まあ威力が上がるのは良いですよね」


要はおっさんの言ってる事を要約すると、魔核、魔法、バレットの3つを消費する代わりに威力が上がった銃と言う事だろう。

浪漫武器と聞いてなんて馬鹿な名前なんだとは思ったが、聞いてみると悪くない気がする。

俺はおっさんの雑な話を聞いてもう少し詳しく聞いてみたくなった。


あとがき

投稿を間違えました。再投稿分です。

モブから2が昨日、TSUTAYAオンラインランキングで文庫、ラノベ共に1位を獲得しました。ありがとうございます。

そしてコミック1巻も2月に出るようです。よろしくお願いします。

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