第245話 師匠
俺は8階層エリアへと進んでいる。
マップがあるので問題なく進んでいるが、とにかく広い。
これは迷子になったら帰ってこれないかもしれなのでマップだけは無くせない。
道中何回かモンスターに遭遇したが、ここのモンスターはスピードが速い。
ただ、暗闇でもなければ、極小でもないので俺的にはストレスなく戦えていて結構いい感じだ。
「ご主人様、前方からモンスターが3体近づいています」
「マイロード、ここは私にお任せください」
「ベルリア、ここのモンスターとは相性悪いだろ。別に無理しなくても大丈夫だぞ」
「いえ、無理など一切しておりません。私が戦いたいだけなのです」
「う〜ん。そうは言ってもな〜」
「ご主人様、ベルリアもご主人様のお役に立ちたいのです。いくら相性が悪くてもベルリアがこの程度のモンスターに遅れをとるはずがありません。任せてみてはいかがでしょうか」
「シル姫様。一生ついていきます」
前はルシェに同じセリフを言っていた気がするが、お前の主人は俺じゃないのかベルリア。
「シルがそう言うなら任せてみようか。じゃあ俺たちは全員後方待機で、危なくなったら援護するな」
「はっ。必ずお役に立って見せます」
そう言ってベルリア1人で前衛に立ち、俺たちは普段よりも後方に移動した。
「なあ、海斗。ベルリアってなんであんなに必死なんだ?まだ始まったばっかりだけど」
「う〜ん。性格もあると思うけどな」
「いや、隼人。俺にはベルリアの気持ちがわかるぞ。他の4人が活躍しているのに俺たち2人だけ全く活躍出来てないからな。俺もベルリアと同じ気持ちだ。痛いほどわかる。ベルリアっていいやつだな。俺の中で好感度が急上昇だ」
まあ、ベルリアの気持ちも真司の気持ちもよくわかる。以前の俺は2年間ずっとこの状態だったのだから。
前方から猛スピードでスピードスターゴブリンが迫って来た。
「ベルリア気を抜くなよ!」
「頑張ります」
「シル、ルシェ、いつでも行けるように準備しておいてくれよ」
「はい、もちろんです」 「わかってるよ」
スピードゴブリンはベルリアが1人で前衛に立っているのをみて3体で一気に攻め立てて来た。
ゴブリンの武器はそれぞれがショートソードを手に持っているが、高速で3方から迫って来た。
「ベルリア!」
予想は出来た事だが、流石に高速の敵に3方から一斉にかかられてはまずい。
ゴブリンが剣を振りかぶって、ベルリアを攻撃しようとした瞬間、ベルリアがブレてすり抜けた。
俺の目にはそう見えた。
すり抜けた瞬間に正面がら襲って来たゴブリンの武器を持つ腕が落ちた。
「グギャガギャギャー!」
痛みで暴れだすゴブリンに向かっでベルリアが背後から袈裟斬りにとどめをさす。
「おぃっ海斗今のなんだ?ベルリアがブレて敵をすり抜けた様に見えたぞ」
「おいおい、ベルリアってあんなに強かったのか?俺と同じモブサーバントなのかと思ってたぞ」
「まあ剣はすごいんだよ。一応士爵級悪魔だしな。俺の師匠だから」
一体をやられたゴブリンは、まだ数的優位を保っているのを理解している様で間髪入れずにベルリアに再び襲いかかった。
今度は2方からショートソードで襲いかかってきたが、今度はバックステップでその攻撃を躱し、次の瞬間前方に踏み込んで右側のゴブリンを一閃して消滅させた。
残った1体のゴブリンが一瞬躊躇した後に逃げ出そうとして背を向けた瞬間、ベルリアが再び瞬間移動の様にブレてゴブリンのすぐ背後に迫り、そのまま斬り伏せて倒してしまった。
「すげぇ!」
「ベルリア。いやベルリア師匠!かっこいい」
「ベルリア、よくやった。流石だな」
「はい。ありがとうございます。やりましたよ」
「ベルリア、よくやりました。これからも励みなさい」
「はっ、シル姫のために頑張ります」
「まあ、頑張ったんじゃないか。これからはもっと敵を倒せよ」
「ルシェ姫。ありがとうございます。ルシェ姫の剣として恥ずかしくない様励みます」
やっぱりやり取りがちょっとおかしい気がする。主人は俺だぞベルリア
あとがき
現在モブから始まる探索英雄譚2の作製に取り掛かっています。はやくもあと1ヶ月後には予約開始です!
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