第165話 2日
俺は今、家で寝ている。
ルシェがやらかして、それまでにもかなり疲労していたこともあり、探索を打ち切って帰ってきたのだ。
正直今日一日疲れた。ちょっと死にかけたし、砂と暑さにやられた。砂漠に住んでいる人たちは毎日これに耐えているのかと思うと頭が下がる。
普段冷暖房完備の生活を送っている俺には今までで1番過酷なダンジョンフィールドだと思う。
今日の事を思い返してみるが、今までとは全く違う感じのモンスターばかりでてきた。
特殊な感じのやつが多いのでこれが続くようだと対策し辛い。
とにかく明日はペットボトルを凍らせて持ち込むことにしよう。
俺はマントのバッテリーを忘れずに充電して眠りにつくことにした。
翌朝になって眼が覚めるが、やはり体が重い。急激な環境変化に体がついて行っていないのだと思うが、そのうち慣れるだろうと思い、準備をしてから、ダンジョンに向かってメンバーと合流した。
「みんな体調は大丈夫か?」
「ああ。ちょっと体が重いな。出来れば休憩を挟みながら探索してもらえると助かる。」
他のメンバーもやはり疲労が残っているようだ。調子に乗らず少しずつ進むことにしよう。
そう思いながら全員で10階層に到着したが、やはり先日同様視線を感じる。一体なんだと言うのだろう。
なんとなく居心地も悪いので早速探索を開始する。
「なあ、ミク、なんかこの階層になってから、他の探索者に見られてないか?」
「まあ、見られてるかもね。」
「やっぱりそうだよな。一体なんなんだろうな。」
「多分海斗さんですよ。」
「俺?いやみんなだろ。」
「いや多分海斗だと思う。」
「いやいや。なんで俺?」
「まあ、海斗はそれでいいと思うよ。海斗らしいから。」
「どう言う意味だよ。」
「褒めてるんだって。いい意味で。」
「はあ。そうなのか?」
まあ、俺がそんなに注目を浴びるとは思えないので、可愛い女の子3人が目立つのだろう。サーバントも出しているから、シルとルシェが目立っているのかもしれないな。だが10階層はこの前すぐに襲われた上に、ギルドにバレたから開き直ってサーバントをスタート地点から召喚している。まあ、どこの誰だかわからないだろうから問題ない。
「ご主人様、モンスター2体です。気をつけてください。」
どこだ?気配が感じられい。
「シル、どこにいるんだ?」
「わかりませんが、近いです。」
また足元か?
「ベルリア、どこにいるかわかるか?」
「いえ、近くにいるような気はするのですがはっきりとはわかりません。」
どこだ?
「シュッ」
俺の足元になにかが巻きついて、思いっきり引っ張られて激しく転んだ。
なんだ?
「ご主人様を離せ。」
シルが巻きついた何かに攻撃しようとするとスルッと外れて何も見えなくなってしまった。
なんだ?
「シル『鉄壁の乙女』を頼む。」
起き上がって体勢を整える。一体さっきのはなんだったんだ?
「みんな気をつけてくれ。さっきのなんだったか見えたか?」
「よくは分からなかったのですけど、多分何かの長い舌じゃないかと思うのです。」
「舌?じゃあ近くにモンスターがいるのか?見えないけど。」
話していると、光のサークルに表面にべったり何かの舌が張り付いている。
これはカメレオンか?
長い舌だけが見えているが姿は見えない。この長い舌はカメレオン系の舌に違いない。
本体は砂に擬態して見えないのか?
「ルシェ『破滅の獄炎』でそのあたりを焼き払ってくれ。」
「わかった。『破滅の獄炎』」
目の前を広範囲に焼き払うと一箇所が不自然に燃えている。
どうやら見えないモンスターを捉えて焼き払えたようだが、一箇所しか変化がないのでもう1体いるはずだ。
どこにいるのかわからないが前方は焼き払ったので今度は後方を焼き払ってもらうが、仕留めた感がないので、両サイドをスナッチの『ヘッジホッグ』とカオリンの『ファイアボルト』と俺の『ウォーターボール』でそれぞれ無作為に撃ってみた。
しばらく見ているとヘッジホッグの針がモンスターの形に刺さっている。そしてそのまま消滅したようだ。
結局2体を倒すことができたが姿は目視できないままだった。
多分でかいカメレオンだと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます