第166話 10階層満喫?
俺は今10階層で見えない敵と戦っていた。
戦闘は終了したものの、結局なんだったのかはよくわからないが、おそらくカメレオンのようなモンスターが砂に同化していたのだろうとしか推測できない。
『鉄壁の乙女』のおかげで俺以外はノーダメージで攻略できたが、やはりモンスターのクセが強い。
魔核を回収してからさらに進んでいく。
マントの中は蒸れと、エアコン機能がせめぎ合っている。
いっそのこと、砂風呂として楽しんだらどうだろうか?
女性陣も合わせて、みんなで砂風呂体験をすると、この無駄に熱いエネルギーを有効活用できるのではないか。
ゲートの脇を造成して砂風呂ランドを建設して入場料を取ったらどうだろう。
きっとこの暑さでダイエット効果効果抜群だと思う。もしかしたらダンジョン産の砂が特殊効果を発揮して、美容や健康に劇的に効果を発揮する可能性も否定できない。
あとはこの膨大な砂を建設業者にでも売れないものだろうか?
まあ運ぶ労力が高くつきそうだが、無限収納があれば行けそうだ。もちろんそんなものはないが。
掘ったら石油でも出ないかな。
ギルドに企画書あげてみようかなと、暑さのせいかバカな妄想を膨らませながら探索を進めていると
「ご主人様、敵3体です。ご注意を。」
身構えて待っていると、羽の生えた猿が向かってきたが、手にはそれぞれ武器を携えており、1体はボウガンのようなものを身につけている。
「飛び道具を持っているやつをとにかく集中放火しよう。ベルリアは残りの2体を牽制しておりてくれ。カオリン『アイスサークル』が効果があるか試してみてくれ。」
『アイスサークル』
速攻でカオリンが『アイスサークル』を唱えてくれたが、地面に氷柱が出現したが空中の猿には影響を与えることができなかった。
こうなったらとにかく撃ち落とすしかない。
俺はバルザードの斬撃を飛ばし、あいりさんとミクは魔核銃で、カオリンは『ファイアボルト』を一斉に浴びせかける。
全てが効果があったわけではないが、かなりの火力で一斉攻撃をかけたお陰で猿は傷だらけになり、羽が傷ついたせいで、地面に向かって激しく落ちてきた。
落ちてきたらただの猿に過ぎない。俺とあいりさんが速攻で詰めて、斬り伏せた。
残りは2体だと思ったが1体はベルリアが相手にしているうちにスナッチが『かまいたち』で撃ち落としたようですでに消失していた。
残るは1体。
ベルリアを盾役にして、全員で再び一斉射撃を行うと、問題なく撃ち落とし撃破することができた。
昨日はかなり苦戦してしまったが、今回はかなりスムーズに倒すことができたのでよかった。
そして俺は大変な事を思いついてしまった。
『アイスサークル』だ。
「カオリン『アイスサークル』を1発、そこに向かって発動してくれないか。」
「え?何もないですよ。」
「いいから、いいから。お願い。」
「それじゃあいきますよ。『アイスサークル』」
目の前に再び大きな氷柱が現れたので俺は氷柱に向かって飛びついてみた。
おおっ。当たり前だが冷たい。
「みんな、一緒にやってみようぜ。冷たくて気持ちいいよ。」
「えっ?魔法ってそんな使い方大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。なんともないって。グズグズしてたらなくなっちゃうぞ。」
みんな躊躇していたが俺が気持ちよさそうにしているのをみて、全員が氷柱に群がってきた。
「本当なのです。冷たくて気持ちいいです。」
「ああ、この暑さにはたまらないな。」
「ご主人様、素晴らしい思いつきですね。」
「ああ、たまにはいい事思いつくもんだな。」
たまだけ余計だがとにかくいい感じだ。効果が切れるまであと少しだと思うが、それまでは離さない。
みんなでべったりと張り付いているとほどなくして氷柱が消え去った。
「カオリン、今後は戦闘後の休憩時間に『アイスサークル』を発動してもらっていいかな。戦闘は、ちょっと省エネでやっていって、こっちに回そう。」
「わかりました。魔法は発想と使い方でいろんな可能性があるのかもしれませんね。」
本当はそんな大層なものではない気がするが、みんな満足そうなのでよかった。
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