第119話 進化の刻

俺は今9階層で敵と戦っている。

リザードマン3体と交戦しているが複数同時に相手にはできないので、2体はシルとルシェに任せて自分のやるべきことに集中している。

1番に攻撃をくらわない事、とにかく距離感と危なくなったら避けるか逃げる。

それだけを徹底しながら相手の空振りを見計らって魔氷剣で斬りつける。なかなか動く相手に深手を負わすことはできないが、魔核銃と併用して3手目にしてようやく倒すことができた。

横を見ると当然のようにシルとルシェがリザードマンを撃退していた。

いつものようにバルザードの使用回数が5回に達したので魔核を吸収させる。

その瞬間、バルザードが赤い光を発光して激しく明滅を繰り返している。

しばらくして光が収まると、なんとバルザードが万能包丁ほどの大きさに変化していたのだ。


「こ、これって」


まさかの光景に一瞬唖然としてしまったが、これってもしかして、魔核を吸収させて使用すると進化するのか?

ステーキナイフが万能包丁に進化してしまった。包丁よりはナイフに近い気はするが確かに刃の部分が大きくなっている。

魔剣なので魔核を吸収させると進化するのか、それともモンスターの生命かなにかを吸収して進化するのかはよくわからないが、とにかく今までのミニマムサイズからサイズアップしてちょっとカッコよくなっている。もしかしたら以前日番谷さんが言っていた2番目に小さい魔剣に届いたかもしれない。

見た目はともかく、性能に変化があるのか確認したいので、すぐに1階層まで戻っていつものように性能を試すことにした。

まずはスライム相手に使用してみるが、威力はもともとオーバーキル気味なのでよくわからない。もうちょっと下の階で試してみることにしよう。

次に魔核の吸収だが、空になったバルザードに吸収させてみると今までの3個からなんと6個吸収することができた。


「これってもしかしてパワーアップしてるのか」


スライム相手に回数制限を確認してみたが、きっちり10回使用できた。今までの倍、一回の戦闘で10回も剣を使用することはあまりないので、飛躍的に実用性が増したことになる。

魔氷剣等も試してみたが今まで通り使用出来ているが、やはり威力は下層に行ってみないとわからない。

次に斬撃が飛んだりしないか色々やってみたが、やっぱり無理だった。

とりあえず2階層まで降りて、ゴブリン相手に剣を振るってみる。少し伸びて全体に大きくなったお陰で正面からでもなんとか斬り合うことができるようになった。

威力は多分少し上がっている気がする。同じく魔氷剣の威力も同じく上がっている気がするが残念ながら持続時間は変わっていなかった。

だとしても、もしかするとこのバルザードって本当はすごい魔剣なんじゃないだろうか。このまま進化を続けたら、アニメのような長くてカッコいい魔剣になってしまうのかもしれない。

威力も少し増してる気がするし、そのうち斬鉄剣とか使えるようになるかもしれない。

最近魔核銃と並んでメインウェポンとなっているバルザードの進化は俺自身の進化にも直結しているので滅茶苦茶嬉しい。


「ご主人様、さすがです。魔剣が進化するなんて、ご主人様の凄さを物語っています。きっとご主人様も進化されるのですね。」


「前のよりは、少しはみられるようになったんじゃないか?ステーキナイフよりはちょっと良いと思うぞ。」


シルとルシェも褒めてくれているので素直に嬉しい。

これからもニューバルザードを片手に9階層をしっかりと探索しよう。どんどん魔核を吸収させて早く次の進化を促したい。多分進化って1回だけじゃないよな。

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