第106話 ヒポコロニー
俺は今、8階層に潜っている。
「みんな、実は俺ブロンズランクになったんだ。それで、レイドとか遠征イベントに参加できるようになったんだけどパーティでの参加ができるみたいなんだけど、どう思う?」
「え?海斗ってBP60もあるの?そんなに強かったんだ。一緒に戦ってても全然そんな感じじゃないのに、人は見かけによらないのね。私よりもBP低いと思い込んでた。」
ミクさん、心の声が聞こえてますよ。別に本当の事なのでいいけど。
「う〜ん。強いってなんだろうか。BPは強さを表すのではないのか?ブロンズランクか、こそっと識別票を交換できないだろうか?」
あいりさん、そんなキャラでしたっけ?心の声が・・・
「ブロンズランクですね。やりましたね。10円玉と同じなのです。すごいです」
「ありがとう。 」
10円玉と同じ。確かに間違いではないが。
「でも、パーティで参加できるのがいいね。レイドとかゲームみたいだし参加してみたいな。」
「そうだな。楽しみではあるな。識別票売ってくれないだろうか・・・」
あいりさん・・・
「変な人が寄って来ないなら参加してみたいのです。変な人がいっぱいだったら難しいのです。」
「俺も参加した事がないのでよくわからないんですが、機会があればイベントをしっかり選んで参加してみましょうか。」
ブロンズランクの報告も終わり、探索を続けているとスナッチが
「ミュー、ミュー、ミュー、ミュー、ミュー、ミュー」
なんだ?今までで一番反応している気がする。
「みんな、多分魚群だと思うけど、スナッチの反応が今までと違うから注意して。」
水面を全員で見ていると、遂に現れてしまった。
このパーティではまだ出現したことが無かった、巨大カバのモンスター。しかも1体では無く、10体以上はいる。
やばい。
カバが出てくる可能性も群れで出現する可能性も想定はしていたが、本当に出られると、魚群の群れの比ではない。大きさも、威圧感も桁違いだ。
カバと戦った事があるのも俺だけなので、とにかく冷静に指示を出すしかない。
「みんな、あいつらはやばい。とにかく猛烈に突進してくるから弾幕を張ろう。近づいてきたらあいりさんと俺が対応するから、危なくなったらミクとカオリンはすぐ下がって。」
とにかく、ちょっとでも数を減らさないといけない。
魔核銃を構えて連射を始める。
「「「「プシュ」」」」 「「「「プシュ」」」」 「「「「プシュ」」」」
え?なんだ?
慌てて周りを見るとミク以外の2人も魔核銃を手に連射している。
本当に買ってもらったのか・・・
ちょっと複雑だけど、間違いなく戦力アップしているので、なんとかなるかもしれない。
正に弾幕を張ることが出来ている。スナッチを含めた4人と1匹が撃って撃って撃ちまくっている。
流石の巨大カバ軍団も一切近づいて来れない。
マガジンを次々に差し替えて、50発撃ち尽くしてしまった。これから先は『ウォーターボール』に頼ることになる。
「ウォーターボール」
氷の刃が巨大カバをめがけて飛んでいく。
「「「プシュ」」」 「「「プシュ」」」 「「「プシュ」」」
なんで!?
俺は既に50発撃ち尽くしたというのに何故か他の3人は未だ魔核銃での連射を続けている。
俺だけ攻撃のペースは落ちてしまったが、他のメンバーは弾幕を張り続けており、みるみるうちにカバが消滅していく。
気がつくと10匹いたカバの群れが、俺の攻撃している1体だけになってしまっていた。
他のメンバーの集中砲火を浴びて、そのカバもあっという間に消滅してしまった。
「みんな魔核銃買ったんですね。」
「ああ、父に頼んだらすぐに買ってくれたんだ。」
「パパにお願いしたら、その日のうちに買ってくれたのです。」
「ああ・・・そう。そうだよね。今回は本当に助かったよ。魔核銃が無かったらやばかったよ。でも俺50発撃ったんだけど、みんなは弾切れしてなかったようだけど。」
「ああ、キリがいいから購入時にマガジン10個つけてもらったんだ。」
「私も」
「私もです。」
「ああ。そうね。女の子だもんね。可愛い娘さんのためなら10個でも100個でも買ってくれるよね。」
ここでも金の力に負けてしまった。いや、バトルには勝ったので本当に良かったが、俺の弱い心が負けてしまいそうだ。いつかお金の力に負けない強い心を手に入れたい。
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