第105話 ブロンズランク
俺は今ギルドに来ている。
金曜日の放課後だがダンジョンに潜る前にランクアップの申請に来たのだ。
これで3度目のランクアップとなる。次はなんとブロンズランクだ。オリンピックだと3位表彰台だ。
もちろん、ギルドのランクに表彰台制度もなければ3位でもないのだが、気分的にはそのぐらい嬉しい。
「高木海斗さま〜」
いつものように手続きの窓口の人に呼ばれた。
「はい」
「高木様ブロンズランクへのランクアップおめでとうございます。こちらが新しい識別票になります。」
新しい識別票はブロンズ製でちょっとカッコいい。
「それではブロンズランクの特典ですが、まずダンジョンマートでの買い物が一部の商品を除いて7パーセント割引となります。そして新しい識別票にはクレジット機能が付与されており10万円迄の買い物を識別票で決済する事が出来るようになっています。引き落としは翌月末に登録口座に請求されます。そしてブロンズランクより、ギルド主催のレイドイベント及び遠征イベントに所属パーティ単位での参加が可能となります。」
「質問いいですか?イベントなんですけど他のパーティメンバーがアイアンランクの場合はどうなりますか?」
「ブロンズランク以上のメンバーが1名以上いる場合は全員参加可能です。ただしブロンズランクですと難易度によって参加できるイベントは限定されますのでご注意下さい。」
「イベントはどうやって知ることができますか?」
「あちらの掲示板に告知が出ますので定期的に見て頂けると助かります。」
「わかりました。ありがとうございます。」
俺はこの日晴れてブロンズランクの探索者となった。
特典については初めて知ったが、クレジットカードを作ったことが無いので、クレジット機能がついたことで、ちょっと大人に近づいた気がして地味に嬉しい。
それにしても、レイドイベントや遠征イベントがあるとは知らなかった。ブロンズランクなので最低限のイベントにしか参加できないのだとは思うが、単純に楽しみで仕方がない。
パーティメンバーにも相談してみようかな。
登録に時間を要したので急いで8階層に潜る事にする。
しばらくウロウロ探索していると、この階層でおなじみとなってきたウーパールーパーが2体出現した。
最初の頃はあれほど気持ちが悪いと思っていた風貌だったが、見慣れてきたのか、子供の頃の気持ちを刺激されたのか妙に愛くるしいと感じるようになってきた。もちろん容赦はできないが。
「ルシェは待機していてくれ。シル、右側の奴に『神の雷撃』を頼む。俺は左側の奴を倒す。」
「ウォーターボール」 「ウォーターボール」
魔氷短槍バージョンを試してみようと2回連続で『ウォーターボール』を発動するが、数秒間動けなくなる。
動きの鈍いウーパールーパーだが、動けない数秒間でかなり距離を詰められてしまった。ウーパールーパーでこれなら素早いモンスター相手ではかなり距離を取らないと危ないな。3連発ほどではないが負担もかなりある。
溶解液に気をつけながらウーパールーパーに向かって短槍を突き出す。
長さがあるので少し扱いづらいが、結構あっさり刺さって仕留めることができた。やはり射程が長いとそれだけで有用だが、疲労感とコストを考えると、当面は実践で使うことはなさそうだ。
申請でロスした時間を取り戻す為、急ピッチで探索を進める。
途中、魚群等のモンスターにも遭遇したが、順調に撃退し、遂に9階層への階段まで到達する事が出来た。
この階段を降りれば9階層だが俺にはまだ早いので一旦お預けだ。
K-12のメンバーと8階層の探索を難なくこなせるようになったら9階層へ挑もうと思う。
本当は少しだけ覗いてみたい。
あとがき
porimoti 1454さんレビューありがとうございました。本作初レビューでした。
他の読者の方もよろしければ★やレビューお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます