第97話 異変?
俺は今ギルドの受付に並んでいる。
「すいません、魔核の買取お願いします。」
いつものように日番谷さんに今日手に入れた魔核を渡す。
「高木様。失礼ですが、8階層に潜られていたと記憶しておりますが、間違いないでしょうか?」
「はい、まちがいないですよ。8階層に潜っています」
「では、この魔核はどうやって手に入れられたのでしょうか?」
「その魔核なんですけど、8階層で手に入れたんですが、最後に恐竜みたいな・・・・」
俺は今日あった出来事を事細かに伝えた。
「信じられません。よく倒せましたね。ご無事で何よりです。話を聞く限り25階層より奥にある古代エリアのモンスターだと思われます。高木様の今までの探索履歴を見ても嘘をついているとは考え難い上にこの魔核は間違いなく本物です。上司を連れてまいりますので、もう一度事情説明を頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。 」
今度は奥の部屋に通され責任者っぽい人に事情説明をさせられたが、責任者の人はずっと難しい顔をしながら話しを聞いていた。
あとで聞いてみると、1階層程度奥のモンスターが出現する事はたまにあるらしいが、これだけ階層が離れたモンスターが出現したことは今まで一度もないらしい。現状では他に報告もないので対策の取りようもないらしく、原因も調べてみないとわからないらしい。
俺のLUCKが史上最低レベルで悪い可能性も否定しきれないが、普通に考えると、ダンジョンで何かが起きている、もしくは何かが起こる前触れの可能性があるのではないだろうか?
それが何かは全くわからないが、シルとルシェがいなければ、俺がやられていたのだけはわかる。
俺だけじゃなく、同レベル帯の冒険者は確実にやられていただろうと思う。
今の俺の一番の心配は、k-12のパーティメンバーの事だ。明日8階層に一緒に潜るがこの状況で潜るのは正直不安で仕方がない。
メンバーに明日相談してみよう。
フタバスズキ竜型の魔核は12万円となり、今回の説明を行った手当てとして1万円が支給された。
どうしても現状に不安を覚えたので、今日の稼ぎに自分のお金を足して、再度ドローン型の魚群探知機を購入した。出費は痛いがこれで少しでもリスクが軽減すれば安いものだ。
この日はそのまま家に帰って、何かあった時の為の対策を考えながら寝てしまった。
次の日、ダンジョン前に集合してから、昨日の経緯をパーティメンバーに説明した。
「25階層より奥のモンスターが出たって言うの?」
ミクが聞いてくる。
「ああ、ギルドに行って確認したんだけどそう言われたんだ。」
「海斗は、昨日一人で潜ってたんだよね。それで、そのモンスターを倒したから魔核が手に入って、それをギルドに持っていったであってる?」
「ああ。それで間違いない。」
「じゃあ、深層階のモンスターって言っても海斗一人で倒せるってことだよね。そんなに心配する必要ないんじゃない。」
「うっ。今回はたまたまだよ。たまたま。無我夢中で必死だったから、次やれって言われてももう出来ないよ。」
「でも今回は私達3人もいるし大丈夫でしょ。ねえみんな。」
「大丈夫だと思うのです。」
「ああ、大丈夫だろう」
ミクが言っている事は正しい。ただ前提が間違っているだけだ。俺が一人で倒したんじゃない。俺は全く歯が立たなかった。だがこれを言うと、シルとルシェの話がどうしても出てしまう。
「わかった。じゃあ一つだけ約束してくれ。実は昨日、恐竜だけじゃなくて巨大なカバにも遭遇したけど、かなりやばい奴だったんだ。8階層には、まだまだいろんなモンスターが出現する可能性があるから、俺がやばいと思ったら絶対に一緒に逃げてくれ。これだけは頼むよ。」
「海斗がそこまで言うなら私はいいけど。」
「私もだ。」
「私もなのです。」
「わかった。じゃあ本当に今まで以上、慎重に探索していこう。」
こうして再びK-12のメンバーで8階層を探索することとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます