第67話 本物の魔法使い

俺はその後もミクとペアを継続して3組のゴーレムを撃退した。

ミクが直接戦闘に加わることは無く、カーバンクルが頑張っていたが、まあそれもありかなと思う。

しかし、カーバンクルを購入とは驚いた。世の中にはお金持ちがいるもんだと妙に感心してしまった。

同じサーバントでもやはり、うちのシルとルシェは特別だと言うのがよく分かった。正直強さの桁が違う。

その日はそれで解散して、3人と火曜日の放課後にまた待ち合わせをした。

全くリア充ではないが、リア充気分を少しだけ味わえて大満足の1日だった。

しかしリア充パーティを組んでいる奴は毎日がこんな感じなのか。正直うらやましい。


次の日の放課後にダンジョンの入り口で落ち合い再アタックする。

今日はカオリンとのペアだ。小動物系で結構かわいい。


「カオリンは後衛なんだよね。魔法が使えるって聞いてるけど、何の魔法が使えるのか聞いといていいかな。」


「はぃ。わたしが使えるのは『ファイアボルト』と『アースウェイブ』なのです。」


「え?2種類も魔法が使えるの?それって結構すごくないか?」


「いえ。探索者を始める時にパパが珍しい色のマジックジュエルを買ってくれて、使ってみたら『ファイアボルト』だったんです。 『アースウェイブ』はレベルアップした時に覚えました。」


「パパ・・・・」


「変なパパじゃないのですよ。本当のパパですから」


「お金持ちなんだね・・・」


昨日も同じようなやりとりをした記憶がある。

もしかして女の子でここまで潜れている子達は、お金持ちの子供でサポートをしっかり受けれてる子が多いのかもしれない。

気をとりなおして、探索にかかるとすぐに3体のゴーレムに遭遇。


「俺が順番に仕留めるから、足止めお願い。」


カオリンが『アースウェーブ』を発動する。地面が沼のようになり、アイアンゴーレムが動けなくなった。

そこに『ファイアボルト』を発動。

雷をまとった炎の玉がゴーレムを直撃する。

シルやルシェとは比べるまでもないが、単純にすごい。ただ、カーバンクルと同様に威力が足りず、深手を負わすことはできていない。

俺はカオリンが攻撃している隙にゴーレムの背後から魔剣バルザードを一閃。ぶった斬るイメージで一気にカタをつけた。

次にミクの相手に向かうと既にカオリンが『アースウェイブ』を発動しており、身動きできなくなったストーンゴーレムをカーバンクルが一方的に攻撃していた。

今度もぶった斬るイメージで背後からバルザードで一閃。問題なく消失させた。

最後にあいりさんの敵を消滅に向かう。

ここでも既にカオリンが『アースウェイブ』を発動させており、動けなくなったアイアンゴーレムを、あいりさんが滅多斬りして消滅させていた。

最後は俺の出番が全くなかった。


「カオリンすごいな。魔法の使いどころと使い方が上手い。でも、そんなに連発してMP大丈夫なの?」


「はい。もともと人よりMPが多いみたいなのです。なので1日ぐらいは、大丈夫なのです。」


「多いってどのくらいか聞いても大丈夫?」


「はい。今のMPは75なのです。」


75・・・俺のおよそ倍だ。個人差ってこんなにあるものなのか・・・最近、神の祝福の補正でかなりMPも増えてきたつもりだったが、比較にならない。

魔法の手際といい適性があるのだろう。彼女のような子を魔法使いと呼ぶのだろう。


その後も4回ほど交戦したが、カオリンの活躍の仕方は尋常ではなかった。

『アースウェイブ』がとにかく今回の戦闘で効きまくっている。

重い体躯のゴーレムは避けることができず、効果を発揮すると一切身動きが取れなくなっていた。

直接的な攻撃力が低くても、補助役としての彼女の有用性は群を抜いている。

敵がゴーレムでなければ『ファイアボルト』の威力もかなりのものなので、直接攻撃もいけるのだろう。

見た目も年齢も俺より小さいのに本当にすごい。魔法特化型だし、小動物的な風貌で、魔法少女カオリンとして売り出せば結構売れそうな気がする。

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