第53話 ダンジョン中毒
次の日の放課後、隼人と真司に急かされながらダンジョンに潜った。
「今日で終わりだからな。今日だけだぞ。」
「分かってるって。今日も頼むぜ海斗先生。」
しばらく、ダンジョンを探索していると、昨日は出会わなかったスケルトンが前方に見えた。
「隼人、真司、スケルトンだ。ボウガンは効果が薄いから俺が前衛で、スケルトンの足を折るから、そのあとはゴブリンと同じ手順で行くぞ。」
「ああわかった。スケルトンって本当に骨が動いてるんだな」
「理科室に置いてあるのしか見た事ないけど、なんか骨が歩くってシュールな感じがするな。」
2人ともバカな事を言っているが、ゴブリンの時と違って初見のモンスターにも自然体で臨めているようだ。
「ガンッ!ボギッ!」
俺のタングステンロッドの一撃で、スケルトンの片足を粉砕、続けて
「ゴッキッ!」
もう片方の足の骨も粉砕した。これでよほどのことがない限り、問題なく倒せるだろう。
「ウヒャー。オリャー。潰れろ。この骨野郎!ラーメンのダシにするぞ!」
「スケルトン カモン。俺の血潮がバーニング。ウォリャー、ドリャー」
・・・・・・やっぱり2人とも人間が変わってしまっている。
これは、いい事なんだろうか?
2人とも一度は挫折した探索者として、モンスターを倒しているのだから、テンションが上がるのはわかる。
わかるが・・・。大丈夫だろうか?
俺が変な扉を開いてしまったんだろうか?
どうすればいいかわからない。
「ゴブリンより、怖くなかったな。おおっ、またレベルが上がった。もうLV4だぜ。LV5もすぐじゃないか?」
「楽勝、ヴィクトリー!俺もLV 4だぜ。フォーだぜ、フォー。最高の気分だな!」
「・・・・よかったな。」
その日もみっちり3時間連れまわされた。2人が嬉しそうなのは良かった。
でもなんか疲れた。
「海斗、また明日も放課後な!頼んだぜ。そろそろ3階層行ってみようぜ。」
「いいねー。3階層。ゴーゴー!」
「いやゴーゴーって。そもそも今日で終わりの約束だろ。」
「あと1日だけ頼む。お願いします海斗先生。」
「お願いします。プロフェッサーカイト。プリーズ」
「本当に明日で最後だぞ。俺も準備と休養しないと本当にまずいからな。」
なぜか、つぎの日の放課後も俺は、かりだされてしまった。
どうしても3階層に行ってみたいというので、2人には条件を出した。
2人だけでゴブリンを倒せたら3階層へ連れて行くと約束した。
「おっ。ゴブリン発見。じゃあ行くぞ隼人。俺が正面、お前が後ろな。」
「任せとけ。一気に行くぞ。」
真司が、正面で牽制している間に、隼人が後方から鍬で一撃を加える。
「おりゃー、クラッシュしちまえ。ウォー!」
ゴブリンが後方からの一撃に気を取られた間に、真司も金属バットで連撃を加える。
「死ね。死ね。このゴブ野郎。うぉぉー!」
「楽勝だったな。」「ああ、これで次は3階層だな。」y
なんか、掛け声とテンションは可笑しなまんまだが、うまくなってる。もしかしたら、俺のレベル4の時より強くなってないか?
強くなるのはいいけど、少し複雑だ。
俺はあんなに苦労してレベル4まで行ったのに、たった2日でこれか・・・
来週からまた頑張ろう。
「それじゃあ、今から3階層に行くけど4匹以上の群れに遭遇したら撤退するぞ。2匹か3匹までしか対応できないからな。これだけは約束してくれよ。」
「わかった。海斗先生」 「イェッサー。カイト」
遂に3人で3階層まで来てしまった。ちょっと気を引き締めて行こう。
まず出会ったのはワイルドボア2匹だった。
「突進されるとまずいから、常に移動しながら狩ってくれ。1匹は俺が倒すからもう1匹を2人でお願いな。」
そういうと、早速ボウガンで右側のワイルドボアを狙う。問題なく命中し、その後の追撃で消失させることが出来た。消失を確認すると同時に左側を見ると
「猪鍋にしちまうぞ!?おりゃおりゃ、このデカブツが!」
「フンッ。くらえ渾身の鍬の一撃。おりゃーサンダーブレイク〜」
サンダーブレイクって何?
変さが増してる気がする。
まあ倒せたからいいけど。
次を探して歩いていると ヘルハウンド2匹とワイルドボア2匹の集団に遭遇してしまった。
やばいな。
「真司、隼人、撤退するぞ。殿を俺がやるから全速力で逃げろ」
「いや。いけるでしょ。」「ああ、問題ない」
「は!?何言い出すんだ。逃げるぞ。」
「うぉりゃー。猪肉は俺たちがやるぜ」「任せとけミンチにしてやるぜ。」
「ば、ばかやろう。」
2人はワイルドボア目掛けて飛び込んでいってしまった。
俺は慌てて臨戦態勢を整え、ヘルハウンドにボウガンを連射。1匹に命中したが消失には至っていない。
追撃しようとする所にもう1匹が飛び込んできたのでタングステンロッドで横殴りにする。
「ギャゥッ!!」
ダメージはあるがまだ仕留められてはいない。焦りながらら2人の方を見ると、ワイルドボアに1対1で向かい合っている。早く倒して、フォローに入らなくては。普段経験したことのない状況に焦りを感じていた。
矢が刺さった方のヘルハウンドに追撃を行い、撃退した。
その瞬間
「ウワー、ヤバイ、ううっ」 「がはっ、痛ってー。」
慌てて見ると2人ともワイルドボアに吹き飛ばされていた。
やばい。焦りで頭が真っ白になりそうなのを必死で堪え、
「ウォーターボール」
いつもと違い『鉄壁の乙女』がない状態で魔法を放つため、目の前のヘルハウンドをタングステンロッドで大きく振るって牽制しながら、真司の敵に氷槍を放ち、隼人の相手にボウガンを連射する。
一瞬、マジックアイテムによる拘束感を感じたがすぐに解ける。
2匹を仕留めたのを確認して、そのまま
「ウォーターボール」
なんとかヘルハウンドを消失に追いやる事に成功した。
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