第37話 お買い物

来週俺は5階層に挑む。

未知の世界である5階層、しっかり準備もしたいところだ。

だからというわけではないが、今日は葛城さんとお買い物だ。

告白したはずが、ばかな俺のせいで、お買い物をすることになってしまった。

もちろん初めて2人でお買い物なのでものすごく、うれしい。


9時に待ち合わせた、最寄り駅に8時についてしまった。

テンションが上がりすぎでよく寝れなかったのと、そわそわして落ち着かないので早くきてしまった。

もちろん葛城さんはきていないので、1人で待っているが、落ち着かない。


1時間ってこんなに長かったっけ。


8時45分になると、葛城さんが現れた


「おはよう。」


「お、おはよう。」


「今日これから何処にお買い物行くの?」


「えーっと。まずダンジョンマートに行ってから、ショッピングモールに行こうと思うんだけど、いいかな。」


「うんいいよ。ダンジョンマートって行ったことないから、ちょっと興味があるんだよね。」


私服の葛城さんを見るのは小学校以来だが、強烈だった。

清楚が服を着て歩いている。

いや服も清楚で可愛い。

白のワンピース。

可愛い。

制服とは違った意味ですごくいい。

やばい。俺にクリティカルヒットしてしまった。


どきどきしながら、それを隠してダンジョンマートに2人で向かった。


「へー。ここがダンジョンマーケットなんだ。結構大きいね!人もいっぱいいるね!!」


「まあ、日曜だから。」


「そっか。高木くんはよくここにきてるの?」


「まあ、きてる方だと思うけど。」


「放課後いつも、すぐ帰ってるけど、ここにきてるの?」


「い、いや。いつもは大体ダンジョンに潜ってるから。」


「そうなんだ。毎日ダンジョンなんだ。危なくないの?なんかすごいね!」


社交辞令だとはわかっているが、すごいと言われて、急速に顔に血液が集中してきた。

鏡があれば、真っ赤になっているかもしれない。


「い、いや。別にすごくないよ。慣れだよ、慣れ。」


あたふた、返事をするのが精一杯だった。


5階層に向けてどうしても欲しかったのが低級ポーションだ。

10万円もするアイテムだが、回復手段を持たない俺には必須だと思えた。

ポーションを注文してお金を払ったが


「高木くんてお金持ちなんだねー。高い商品をさっと買うからびっくりしたよ。」


「いや、いや、俺もこれを買うのは初めてなんだけど、今度どうしても必要になりそうだから、いつも買ってるわけじゃないよ。」


「ふーん。そうなんだ。 」


そんな会話をしているといつもの武器店のおっさんが声をかけてきた。


「おー坊主。今日は偉いべっぴんさん連れてるじゃねーか。坊主の彼女か?」


おっさん急に何言いやがる。


「え!? いやちがいますよ。同じ学校のクラスメイトですよ。いやだなー。」


「ふーん。クラスメイトねー。まあ坊主の彼女にしてはべっぴんすぎるわな。」


おっさん。余計なお世話だ。


「坊主、モテなさそうだもんな。お嬢ちゃん、こいつのお守り大変だな。」


「いえ。初めてダンジョンマートに連れてきてもらったので楽しいです。」


「お嬢ちゃんいい子だな。まあちょっと変わった坊主だがよろしく頼むわ。」


おっさん、何余計なこと言ってんだ。しかもちょっと変わった坊主ってどういう事だよ。


「あーまた今度来るんで。じゃあっ。」


これ以上は、事態が悪化すると思い、早急に葛城さんを連れて立ち去った。


「なんか、いい人だったねー。」


「えっ、どこが?」


ちょっと葛城さんが言っている意味がわからなかったが、そのあとはいつも通りウィンドウショッピングができた。

おっさんのやりとりで、あたふたしたせいで、ちょっと肩の力が抜けて、葛城さんと普通にまわれた気がする。

そのあとショッピングモールへ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る