【短編】ブレたら俺の存在意義どころではない~プラスチックボディーたちの知られざる叫びは国境を越える~
こまつなおと
第1話
あたしってご主人様に買われると何度も何度も熱-------っいキッスを求められちゃうのよね。
歴代のご主人様に例外はいなかったわね…、みんなしてあたしの唇を求めて来たわ。
しかも丁寧にマスクを着けているのによ?
それを無理やり脱がせてから…体液を絡め合うよな濃厚な…ディー…プキッス!!
それだけのことをされておきながら、あたしって用済みになると直ぐに捨てられちゃうんだから…。
でもね、あたしってそんな尻軽女ってわけでもないわ、単純にあたしに存在価値がなくなっただけだから仕方ないの…。
ふう…、あたしが誰かって?
ペットボトルよ。
世界中の人口、いえペットボトル口がどれだけかは知らないけど、そのうちの一つに生まれたあたしはコ〇・コーラ社の工場でドクター〇ッパーを体内に注入されてから都内某所の自販機に設置されたの。
何度目かしら、あたしがこうやって放置プレーをされるのは。
それに放置プレーをされる前なんて配送係のお兄さんに手荒く自販機の中に滑り台で投げ飛ばされるのよ!!?
ペットボトル虐待もいいところだわ!!!
コ〇・コーラ社のここだけは我慢ならないわ、まあ大企業名だけあって福利厚生がしっかりしているから我慢してるんだけどさ?
あたしって基本的に我慢できないタイプなのよね、お願いだから優しくしてちょうだい。
……もう誰でも良いわ。
この自販機に160円を投入してボタンを押して欲しいの…、そしてあたしを自由と言う名の世界に連れて行って!!
…でもこの檻から解き放ってくれるとは言え、誰でも良いわけじゃないの…。
何でコ〇・コーラはあたしに主力製品を注入してくれなかったの?
何でマニアックなドクター〇ッパーをあたしに注入してしまったの?
何度も歴代のご主人様からとっかえひっかえされて、男の心を無理やり女のそれに変えておきながら!!
そうよ、あたしは何十人と言う殿方に唇を奪われ続けたから心が女に変貌したのよ!!
ペットボトルの人生って何なの!!?…人生じゃなくてペットボトル生って言うべきかしら。
まあどうでも良いわ、ペットボトルって言うくらいなんだからお金を出して買ったら責任もって生涯に付き添いなさいよ!!
だって『ペット』ボトルなんでしょう!!!?
江戸時代とかだったら五代目将軍の徳川綱吉様に生類憐みの令でしょっ引かれちゃうんだからね!!
ふう…、それにあたしが気に入らないのはこのマスク、つまり蓋ね。
なんでも2013年に発生した東日本大震災で蓋の製造工場が被災したらしくて、ミネラルウォーターの需要増も相まって、デザインが真っ白に統一されちゃったのよね。
おしゃれなあたしとしては業界全体が白いマスクで統一しちゃったのは納得いかないわ。
だってあたしがファッションショーに出演することになったら、こんな地味マスクを着けているだけで良い笑い者よ!!
それにコ〇・コーラってファッションショーのスポンサーとか良くやっているし、私にお声が掛かっても可笑しくないはずよ?
それにほら! あたしの目標はあれよ…ニューヨークのタイムズスクエアにあるコ〇・コーラの広告!!
あたしはあんな風にトップモデルになるんだから!!!
……と言ったところでまだあたしはモデルですらないわけの、自販機と言うドサ回りで修行中なのよ。
まだまだ苦労が足りないかしら?
それでもあたしは諦めない!
日本の最高峰のペットボトル事務所であるコ〇・コーラ社からペット業界のナ〇ミ・キャンベルになるって決めてるんだから!!
スカウトのベ〇・ボルトに見初められて母親に反対されながらも自分の人生を突き進んだ彼女の様になってやるわ!!
そしてナ〇ミの様に『I〇terview誌』にすべてのペットボトルの上に君臨するメガモデルとして掲載されるの!!
さあ、あたしのベスはどの殿方かしら!?
あたしを蛹(さなぎ)から蝶へと羽ばたかせて蝶だい!!蝶だけに!!!
自販機に160円を先行投資してあたしを手に取って唇を奪ってちょうだい、……ん?
あれは女ね…、あれはノーサンキューよ。
何よ、ちょっと綺麗な顔しているからって自信満々に歩いちゃってさ…。
あたしにあなたは似合わない…、だってその口に塗った紅は炭酸飲料に不向きよ!!
あたしに口をつけた時点で炭酸が弾けるのよ!!?
あたしはあなたにとって爆弾でしかないわ……、ってだから何でドクター〇ッパーのボタンを押そうとしているの!!?
チャリン、チャリン、チャリン、ピッ、ガチャン!
キャーーーーーー!! 目が回るわあああああおおおおっ……おえええええ!!
いつも思うけど購入されるときに味わうこの感覚だけは慣れることがないわね。
どうして購入される度にコードレスバンジーをしなきゃならなの!!?
自販機メーカーも少しはペットボルトの気持ちを考えなさいよね!!!!
電子マネー対応とか、そんな機能はどうでも良いから銭湯なんかに置いてる自販機の様に優しくアームで掴んで下ろして蝶だいな!! 何度も言うわ、蝶だけに!!!
紅白歌合戦の美〇憲一やジ〇ニーズのライブの様にロープアクションを使えばどうとでもなるって、世の開発者たちは何で気づかないの!!?
「ふう…、今日は本当に喉が渇いたわ。ドクター〇ッパーで落ち着かないと。」
…だけど購入されてたからには文句を言ってもしょうがないわね。
今回はこの女にあたしの女の本性を磨いてもらうしか……、この子ってば本当に綺麗ね。
どこかでモデルをしていても不思議じゃないわ…、じゅるりっ!!
はっ!! あたしは何をしているの?
まさかこの子に封印されたあたしの男としての本能が呼び戻されているとでも!!?
…この子は危険だわ。あたしが築き上げてきたものが全て土台から崩されそうな予感しかしない…。
プシュッ!!
「今日も借金返済の為に一日仕事を頑張らないとね。」
借金返済? この子もあたしと同じで訳ありかしら…?
って、きゃああああああああ!!
あたしの唇が奪われちゃうわ、よりにもよって女なんかに!!
あたしのマスクを外してこの寸胴ボディーを逆さにしないでよおおおおおーーー!!!
どんだけえええええええええええええええええ!!?
「ップハ!!良おし!充電完了ね、今日も頑張るんだから!!」
住み慣れた我が家にーーーっ、……て、あっぶねええええ。
芸人のり〇ごちゃんみたいに吉〇三のモノマネをするとことだったぜ、…………あれ?
俺は今まで何をしていたんだ、……性格が元に戻っている?
おおおおおおおおおお!!! この子が本当の俺を取り戻してくれたのかあああ!!
君が俺の白雪姫だったのか!!! …いや、逆か?
君の美しいキッスが俺の心から毒リンゴを吐き出してくれたんだ…、このお返しに俺が君の借金と言う毒を吐き出してあげるよ!!
君に借金という毒を盛った王妃を捕まえて真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて死ぬまで躍らせてやろう!!!
…しっかし本当に綺麗な子だな。
この子こそ、ナ〇ミ・キャンベルみたいな世界のトップモデルだって言われても誰も疑わないだろうに。
こんな子が一日労働に勤しまないといけないなんて、いったいどれほど莫大な借金を抱えていると言うの?
サ〇トリーから販売された緑茶飲料・伊〇衛門の人気に火が付くきっかけとなった、ペットボトルたちの間で伝説なったかの有名な衣装をこの子にも纏わせれば、きっと輝くだろう…。
そう、竹筒を模した店頭用ペットボトルの生産自体が需要に追い付かず、生産中止になってしまったがために伊〇衛門の存在自体が世間の注目を浴びた時の戦略と同じだあ!!!
しかしこの子はどうして借金をしているんだろうか?
一見してみると決して悪い子では無いと思うんだけどな…、それともこの子には何か裏の顔があるのだろうか?
俺は自分を取り戻してくれたこの子に大きな興味を持ってしまったのだ。
俺の体を構成するPTE、つまりポリエチレンテレフタレート、人間で言うところのデオキシリボ核酸そう! DNAとでも言うべきこれら!
これらが重合される前のモノマー一つ一つが俺に語り掛けるんだ!!
この子を闇の中から救ってやれと!!
「それにしても今日の仕事先が法律事務所だなんて嫌がらせかしら?えっと…確かこの先の角を右に曲がるのね。」
おやおや、この子は法律事務所に行くことがマズくなることでもしているのだろうか?
これはお兄さんも心配になってきましたな、何しろ俺は何度も人生をやり直してきたペットボトルだからな。
何ってたってペットボトルだからリサイクルとリデュースは当たり前、2018年度にはリサイクル84.6%、リデュース23.6%の削減効果量は189.9千トンだからな。
何度でも破産申告をすることなく人生をやり直せるのだから、人生に煮詰まったら相談くらいなら乗ってやるのに。
しかも相手がこんな綺麗な子だったらお兄さんはいつでもウエルカムですよ!!
お! そんなことを考えていたらこの子の足が止まったぞ?
目の前には小さなビルがあるじゃないか、それもどこにでもありそうな寂びれた小さなビルだ。
吉田法律事務所と看板には書かれている、ここが目的地ってわけか。
そしてこの子は迷うことなくドアを開けて中に入っていた、勿論俺もお供するぜ!!
俺の体内にドクター〇ッパーが残っている限りは捨てられることも無いだろうから、ペットボトル同伴で法律事務所へ突入じゃあ!!!
「…吉田さんはいますか?今日お仕事の依頼でやって来た氏家と言いますが。」
なるほど、この子の名前は氏家ちゃんって言うのか。
おや? 奥の方から少しだけ腹の出ている女の人が歩み寄って来たじゃないか、この人も腹こそ出てはいるが中々のべっぴんさんじゃないか。
俺も出世したのものだ、こんな美人さんを両手に侍らかせるなんて!!
「お待ちしておりました、ではこちらへどうぞ。」
氏家のお嬢ちゃんは吉田さんと言う人に案内されて奥の個室へ入っていった、それにしてもかび臭いビルだ…、この二人にはお世辞にも似合っていると言い難いな。
「それで今日の仕事についてですけど…。」
おお! 氏家のお嬢ちゃんもソファーに座って早々に何の挨拶もないし、仕事を切り出すとはかなりのハードボイルドだな…、どこかのロボット掃除機に見せてやりたい光景だぜ!!
「…氏家さん。あなた、東北のペットボトル工場がご実家ですってね?」
何いいいいい!!!?
ちょ、ちょっと待てええええええいい!!!! 吉田のお姉さん、そりゃあどういうこった!!?
このお嬢ちゃんが俺たちの神だって言うのか!!いや正確には神の娘さん、……だと?
こいつは俄然聞き逃せない会話になって来たじゃないか…、俺にはこの神の娘さんがどんな悩みを持っているのかを知る権利を手に入れちまったのか。
俺はいつの間にか聖域に足を踏み入れていたのだ!!
「吉田さん、それが今回の仕事に関係が有るのかしら?」
「大ありよ、…何しろ今回の仕事はコ〇・コーラ社から直々にコーラ容器用の瓶を入手するように指示を受けているのだよ?あなたみたいな瓶容器の天敵とも言えるペットボトル工場の娘さんにこの仕事を任せて良いものか悩んでいるのよ。」
「…あなた! ふう…、良いわ。吉田さんも独立して法律事務所を立ち上げたは良いけど、旦那さんがリストラされて今はゴミ収集車の職員さんでしたっけ?旦那さんが低所得なら、そりゃあ失敗できないわね…。」
「…あなたこそ、その話が仕事に関係が有るって言うのかしら?」
「あたしの情報収集能力をお披露目しているのよ? それで、仕事の話を進めるの?それとも…。」
「あら、素晴らしいプレゼンテーションね。あなたのご実家も相当な負債を抱えているから仕事を選ぶ余裕もないってことかしら? そうね…、なまじ中途半端な輩と手を結ぶよりも逆に信用出来そうだわ、…良いわ。仕事の話をしましょう。」
おおおおおおおお…、氏家のお嬢ちゃん!!
俺は感動に打ち震えているぜ…、まさかあんたの借金の理由が実家のペットボトル工場の負債だったなんて。
俺は勘違いをしていようだ…、あんたは白雪姫でも神の娘でも無かった。
あんたはペットボトルたちのジャンヌダルクだ!!!!
1412年1月6日に農家に生まれ落ちたあんたは神の啓示を受けてフランス軍に従軍、その後、イングランドとの百年戦争で数々の勝利を収めてシャルル7世の戴冠に大きく貢献したんだな!!!
フランス国内の政策も経済も崩壊してイングランドの焦土作戦に苦しむ中、それでも失望をその胸中に仕舞いこんだまま立ち上がった!!
にも関わらずだ、…敵軍の捕虜となって身代金と引き換えにイングランドに引き渡され…、自国に帰っても無罪の罪を擦り付けられ弁明さえ許されずに……、ダメだ!!
俺にはこのお嬢ちゃんの人生を語ることなんて出来ない!!
……俺にできることと言えば、お嬢ちゃんがやると言ったことに全力でサポートすることだけだ…。
さあ! あんたの決意を俺に聞かせてくれ!!!
「ええ…、どんな仕事だってやり切ってやるわ。私にはお金が必要なの…、実家の工場にリサイクル設備を導入するために、資金を確保すると言う使命が有るんだから。」
「随分とご立派な使命だけど、私に言っても良いの? 足元を見るかもしれないわよ…。」
「…あなたからはこっち側の匂いがプンプンするのよ、ペットボトルらしく石油臭いわ。あなただって旦那さんの仕事柄を考えたら瓶だけじゃなくてペットボトルも扱っているんでしょう?」
「気に入ったわ…、それじゃあ来週の現地時刻22時にこの場所まで来てもらえるかしら?」
吉田のお姉さんがテーブルの上に一枚の紙を置いたけど、これって地図か?
…しかもこの場所って……、え?
「あなたも正気じゃないわね…、まさか瓶製造大国のド◯ツを相手取ろうなんて。」
「小娘には少し荷が重い相手だったかしら? クライアントのコ〇・コーラ社はね…、こいつらから圧力を掛けられているのよ、ペットボトルの使用を中止しない場合は原材料の仕入れ先を一つずつ潰すってね。」
何だって!! こいつらが…、俺の同胞たちから仕事を奪うって言うのか!!
ふざけるな!! そんなことになったら失業した同胞たちがハローワークにごった返すじゃないかあ!!!!
「それにしてもあなたが持っているペットボトルがドクター〇ッパーなんてとんだ皮肉ね…。」
「このペットボトルは捨てないわ…、だって折角のゲン担ぎなんですもの。捨てたらきっとこの仕事は上手く行かないわ。」
おお!
べっぴんさん二人が固い握手をして笑っているじゃないな…、しかも俺が仕事成功のゲン担ぎだって!!?
引き受けたぜ!!
あんたらの命運は俺に託されたってことで良いんだな?
だったらとことん付き合ってやろうじゃないか…、いざド◯ツへ!!
………
それから一週間後、ド◯ツのミ◯ンヘン上空
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!
俺は氏家のお嬢ちゃんと吉田のお姉さんと共にド◯ツの国立瓶製造工場に潜入している。
この二人は工場の主要な製造設備をことごとく破壊して、敵に大きな混乱をプレゼントしていた!!
その上で奴らの瓶を全て奪うとは、痛快以外の感情が生まれてこない!!
これは俺も気分が高揚するってものだぜ!!
でも…、お嬢ちゃんは何で俺の体内に粘土なんて入れたんだろうか?
これだけは良く分からん、…若干甘い香りがするんだよな?
だが俺は二人のゲン担ぎだ、これはきっと二人の携帯食、そうレーションとかに違いない!!
今はとにかく退路の確保が急務、二人とも走るんだ!!敵が近くまで迫っているぞ!?
「やったわね! これで無事に帰還出来たらあなたの実家も再建が可能ね…。」
「ええ、あなただって旦那さんの疑いも晴らすことが出来る。二人とも万々歳よ!! なりによりペットボトルの関係者として一矢報いることが出来たわ!……でも退路が断たれちゃったかな?」
「無いんだったら作れば良いのよ!! あなたのペットボトルを私に貸してくれない?」
およ? お姉さんが俺をご所望だなんて…、一体どうしたんだ?
「良いけど…、これの中身を知っていて要求しているの?」
「ええ、…これを中に追加するのよ。旧式しか手に入らなかったのが苦しいけど、二つ合わせれば破壊力を確保できるはずよ。」
おおお!! お姉さんったらこんなところで俺のマスクを外しちゃって!!
…どうするのかと思ったらお姉さんも緑色の粘土を体内に投入し始めたぞ?
若干アーモンド臭がするけど……、はて?
「あなたも本当に狂っているわね…、それって第二次世界大戦のときに使用されていた№808じゃない?」
「あなたに言われたくないわね、…元々入っていたこれだってC-4でしょうに。」
おおい!? C-4って……、プラスチック爆弾じゃないのか!!!?
しかも№808って…………、あれか?
イ◯リスのノー〇ル・ケミカル社が開発したって言う……これもプラスチック爆弾だろうが!!!!!
ちょっと待ってくれい!! あんたら二人は俺を即席の爆弾にしようって言うのかああああ!!!!
レーションの即席ラーメンどころか即席爆弾だなんてブラックジョークにもほどがある!!
…まあ、ドクター〇ッパーもコーラもどっちもブラックだけどさ。
だが、話が違うぞ!!!
俺は日本中のペットボトルたちの、同胞たちのために着いてきたけども!?
それでも自分が犠牲になるなんて一言も言っていないぞ!!?
うーん、…でもカ〇プヌードルの人気に火が付いた時も彼らの同胞に犠牲が有ってのことだと言うし。
だが、それでもそれだけで物事は解決しないのだ!
カ〇プヌードルの開発者であるA氏はチ〇ンラーメンをア◯リカ人に売り込んだ際に彼らの文化に箸と丼が無いことに気付いた…、そして売り込み先でコップに砕いたチ〇ンラーメンを投入して食べて貰うも当時のコップはロウを使ったパラフィン製で匂いが移って美味しくない。
それでも彼は諦めことなく帰りの飛行機で配られた機内食用のマカダミアンナッツの密封袋からヒントを得て、発泡スチロールのカップを採用して海外への売り込みを再開したんだ!!
つまり、試食と言う仲間の犠牲無くして世界80か国で400億食を売り上げた国民食にはなり得なかった…、そうか!
俺もその礎になれと言うんだな?
そういうことかああ!!!!
「吉田さん、プラスチック爆弾の容器がペットボトルだってことはこの国へのメッセージよ。お前たちは大きな敵を作ったていうね。」
「なるほど…、あなたのそういう考え方は好きよ? しかもペットボトルならリサイクルも可能だから無駄死にはならない…、素敵な考え方ね。」
やっぱり全然素敵じゃありません!!!
そんなことをしたら俺の体が粉々になるじゃないっすか…、それじゃあ、まるで俺は爆弾を抱えたまま敵陣に突っ込んでいく特攻兵…いや、特攻ペットボトルじゃないっすか!!
それも言い方が…軍用ペットボトルってところなのか?
いくらアーモンド臭がするからってグ〇コが販売するアーモンド入りのチョコレートみたいな効果は期待できませからね!!
血液の循環や体を温めることだって出来ないですよ、今一度ご再考をお願いしまっす!!!!
どの道、ロクなペットボトル生じゃないな…。
そりゃあ確かにお嬢ちゃんをオルレアンの乙女として担ぎ上げた俺にも問題はあるが!
それでもこの仕打ちは無いじゃないか…、命あっての主義主張ってものだろうが。
これじゃあナイフ一本で笑いながら敵兵を屠(ほふ)り続けてきた反ポ〇トガル支配を提唱し続けたゲリラ組織の元少年兵の方がまだ救いがあるぞ!!
俺のビ〇グボスは何処にいるんだ、俺のコードネームはペットボトル業界のグ〇イ・フォックスでした!!
「……じゃあね、私のジャンヌダルク。あなたに出会たことは忘れないわ。」
ジャンヌダルクはお嬢ちゃんだよおおおお、俺はジル・ド・レのポジションでお願いしまーーーす!!!
……そう言えばジル・ド・レもジャンヌダルクの死に絶望して故郷で悪行に手を染めて処刑されるんだった。
ぎゃあああああああああああ!!!
チュドーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
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