第19話:静岡着。

亜沙子たちを乗せた新幹線は、新大阪駅を出たあと、東海道を東へ走り、約2時間ちょっとでエリカの地元の最寄り駅・掛川へ到着した。


亜沙子たちは、新幹線から降りて、改札を抜ける。


すると、改札前には、黒い燕尾服を来た初老の紳士が笑顔で立っていた。


「おかえりなさいませ、お嬢様」


「あ、じいっ!!待っててくれたの!!」

「当然でございます。お嬢様の帰省ですから」


「え、エリカちゃん?」と亜沙子がエリカを呼ぶ。


「なぁに?木之川さん」

「こちらのお方は?」

「あぁ、私の専属の執事ですわ」

「執事っ!さっすが大企業のお嬢様!」


「ささ、お嬢様、皆様方もお車の方へ」


と、執事の男性に連れられ、駅前ロータリーへ向かう一行。


「どうぞ、こちらへ」


執事が車のドアを開ける。


「うわー、むちゃ高級車!」


と、亜沙子がビックリする。


「これってリムジンってやつやんな?」と、隼人。

「そうや、リムジン!私、初めてや!」亜沙子が興奮する。


一行を乗せたリムジンは、掛川駅を離れ、市内を抜け、エリカのふるさと、牧之原へ向かう。


その道中……。


「うわー、景色キレイやなー」


「のどかなトコやなー」


とみなそれぞれに景色を眺めたりしている。


掛川駅から約1時間半。車は、エリカのふるさと、牧之原に到着した。

そして車は市内の中心地を抜け、中心から少し離れたエリカの自宅へ入って行った。


「お嬢様・皆様、お疲れ様でした」


車が広い邸宅の敷地内に入り、車止めで停車すると、女性のメイドが車のドアを開ける。


車のそばには数人のメイドや執事たちがズラっと並び、エリカに挨拶をした。


「おかえりなさいませ、エリカお嬢様っ!」


「みんな、ありがとう、ただいま」


その光景に、一行は圧倒される。


「松平?」

「はい、お嬢様」

「とりあえず私は自分の部屋に一度行くから、みんなを離れの部屋に案内してあげて?」

「かしこまりました」

「エリカさん、どっか行くの?」

「あー、ちょっと自分の部屋にね。あとでみんなのトコ行くから」

「はーい」

「では皆様方はこちらへどうぞ」


と、敷地内の離れに案内される


「こちらが皆様の宿泊される離れにございます」

「うわー、すごい豪華!」

「お嬢様はのちほど来られますのでお待ちくださいませ」


そう言って執事の松平は本宅へと戻って行った。


「この部屋もすんごい豪華やなー……」


と、隼人が部屋の中をキョロキョロ見て回る。そして、こんなことを言った。


「てかさ、僕もみんなと一緒にこの部屋で寝ろ、ってことかな?」

「そうなんちゃうん?」


「亜沙子はいいにしても、みんなはえぇんか?僕おっても」

「ちょ、私はいい、ってどうゆう意味よ」


「わたしらは別にかまへんよ?なぁ」

「うん」

「えぇでー」


と、みなそれぞれに言う。


「藤原君、旅行中はハーレムやな」と、ヒナ子が言った。


「そ、そんな。僕には亜沙子がおるしな」


「ま、嬉しい。安心やわ」と、亜沙子。


みんなは、それぞれ荷物の整理をしたり、部屋の中を見て回ったり事由に過ごしていた。

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