第16話:その日の夜。

エリカたちはミナミの夜を楽しんだあと、一度青島貿易の大阪支店の社長室へ戻り、エリカは父に挨拶をし、古谷の運転する車で一人暮らしのマンションへと向かった。

佳奈も、父親と一緒に自宅へ帰った。


古谷が運転する車中で……。


「今日は楽しかったですわ」

「そうですか、お嬢様が楽しいとわたしも楽しいです」


そして、古谷の運転する車がエリカの一人暮らしのマンション前に着いた。


「古谷さん、ありがとう」

「今夜は私が居なくて大丈夫ですか?」

「えぇ、もうだいぶ慣れたから」

「そうですか、では、おやすみなさい」

「おやすみー」


古谷は、エリカがちゃんとマンションの中へ入って行くのを見届けてから車を発車させた。


~~~~~


ところ変わって同時刻、こちらは亜沙子の部屋。

亜沙子は部屋で今日の課題をこなしていた。


「うーーーん、難しすぎる……隼人、まだ起きてるやんなぁ……」


スマホを取り、隼人にLINE通話をした。


「あー隼人?」

「なんや亜沙子、どないしたん?」

「今日の宿題やけどな」

「英語やな」

「う、なんで分かったん?」

「だってお前英語苦手やん」

「ちょっと家まで来てぇや」

「今から、か?」

「うん」

「まぁえぇけど」

「ほなあとでなー」


と言って2人は通話を切った。


それから少しして、隼人が亜沙子の家に来た。

入り口でインターフォンを鳴らすと、亜沙子の母親が出迎えてくれた。


「いらっしゃい、さ、入って入って」

「おじゃまします」


「亜沙子~、隼人君、来たわよー」

「はーい」


隼人は、階段を上がり、亜沙子の部屋に入った。


「隼人~」


亜沙子はいきなり隼人に抱き付いた。


「ちょ、おま、いきなり抱きつくなって!」

「えぇー、だって私ら恋人やん」

「そらそうやけどなー、勉強せな」

「分かってる、抱き付きたかっただけやから」

「ならええけど」


そう言って2人は勉強机に向かった。


「で、何が分からん、て?」

「英語のな、文法。隼人、英語得意やろ?」

「まぁ、お前よりは、な」

「ひっどぉー」


そして2人は2時間ほど勉強に集中した。


「で、や、ここの文法はやな……」

「ちょ、ちょ待って……」

「少し休ませて、疲れた」

「結構時間経ったからな。あともうちょっとや、頑張れ」


2人が勉強してると、亜沙子の部屋をノックする音がした。


「はあい」


母親がお菓子と飲み物を持って来た。


「隼人くんありがとうねー」

「いえ、そんな」

「どう?亜沙子、はかどってる?」

「なんとかね」

「じゃあお母さんは戻るから」

「はーい」


そう言って母親は部屋から出て行った。


「ちょっと休憩しよか」

「やた!」


そして2人は、母親が持って来たお菓子を食べながら少し休憩し、そのあと、約1時間ほど勉強してから、ようやく終わったので、一息付いた。


「ふあー、やあっと終わったー」

「お疲れさん」

「隼人、ありがとー。なぁ?」

「ん?」

「ちゅーして」

「ん」


そう言われると隼人は亜沙子の体を抱き締め、優しくキスをした。


「ん・ん……」


キスは、5分ほど続いた。


そして、隼人から唇を離した。


「終わり?」

「終わりや」

「もう、隼人……なぁ?」

「なに?」

「エッチしてみたい」

「アホ、おば様おるやろ」

「あぁ……」

「それはまたいつか、な」

「わかった」

「ほな僕そろそろ帰るわ」

「うん、ありがとうな」

「ええって」

「玄関まで送るわ」

「おう」


2人は1階まで降り、リビングでくつろいでた母親に挨拶をした隼人は、玄関で靴を履き、「ほんじゃまた明日な」と言って手を振り、亜沙子の家を出て行った。

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