第11話:青島エリカ。~その2~
転入して来たエリカを含む一同は、学食に着き、食券の券売機の列に並んだ。
そして、順番が来ると、それぞれメニューを決め、ボタンを押し、厨房の列に並ぶ。
自分の番になると、厨房のおばちゃんに食券を渡し、メニューを受け取ると、適当に空いてる席を探し、エリカを囲んで会話しながら食事を始める。
「で」
と、亜沙子が口を開いた。
「さっき話してた立花のお嬢様はー……」
と独り言を言いながら、周りをキョロキョロと見渡す。
「あ、おったおった」と言い、亜沙子は席を立ち、"立花コーポレーションのお嬢様"が座っているテーブルまで行く。
「ねぇ、立花さん?」
「あ、木之川さん、どうしたの?」
「あ、相川さんも、こんにちは」
「こんにちは」と、"相川さん"と呼ばれた女子生徒が挨拶をする。
「ねぇ、立花さん?」
「はい?」
「あっちの席で、私たちと一緒にお昼、しない?」
「え?」
「今日転入して来た青島さんの歓迎会してるの」
「あ、いいわね、行こうかしら?ねぇ、よっちゃん?」
「そうやね、行こか」
そう言うと2人はトレイを持って亜沙子たちが待つテーブルへと移動する。
「連れて来たでー」
「ども、呼ばれて来ました~」と、立花が言う。
「どうぞどうぞ」と、亜沙子が言う。
「今日転入して来た青島さんね?」
「はい、青島エリカ、です。よろしくね」
「わたし、
「よろしくです」
「ウチは、
「よろしく」
「で、立花さん?」
「なに?木之川さん」
「あのね、青島貿易って会社知ってる?」
「知ってるわよ、うちの会社と提携してるから」
「この青島さん、そこのご令嬢なんだって」
と、亜沙子が言うと、一瞬佳奈の時間が止まり、
「……」と、なって、ふと我に返り、「は?えーーーっ?!」と叫ぶ。
「ちょ、立花さん、叫ばないで」と、エリカ。
「あ、あなた、あの青島貿易のお嬢様?」
「は、はい、一応」
「わたし、立花コーポレーションの娘です……」
「えぇ、さっき食堂来る時にそこの木之川さんから聞きました」
「いつも父がお世話になりまして……」と、佳奈が言う。
「いえいえ、こちらこそですわ」
「まぁまぁ、堅苦しい会話はその辺で」
「そ、そうね」と、佳奈。
それから一同は、ワイワイといろいろな会話をしながら食事をした。
「ねぇ青島さん?」
「はい?」
「青島さんが前に通っていた学校ってどんなとこ?」と、佳奈が聞く。
「んと、静岡でも有名な女子校ですわ」
「なんて名前?」
「
「へぇ、初めて聞いた」
「まぁこちらでは知られてないですから」
「女子校かぁ……女の子ばっかやねんね?」と、亜沙子が言う。
「まぁ、そうですわね。ですので、男の子が居るのが不思議で……」
「あ、隼人は大丈夫やから。無害な男子生徒やから」
「ちょ、おぉい、亜沙子、なんやねん、無害て!僕も一応男やねんぞ!」
テーブルに笑いが起こる。
「立花さん?」
「なぁに?青島さん」
「LINEの交換っていいですか?」
「えぇ、いいわよ」
「あ、私もしたいなぁ」
「わたしもー」
と、他の女の子たちも言う。
「えぇなぁ、女子ばっか」隼人がぼそっと言う。
「交換してもらったらえぇやん」と、亜沙子。
「えぇんか?」
「別にえぇよ、LINEくらい」
「どないしたん、藤原君。木之川さんに弱くなって」
「や、んー……亜沙子、言うてえぇか?」
「ん?あぁ、あれ?」
「そう」
「うん、えぇよ、てか、私が言うわ」
「そうか」
「うん」
そう言うと、亜沙子がテーブルに座ってるみんなに対してこう言った。
「えと、あのね?みんな」
「どしたんー?」
「私、隼人と付き合ってんねん」
と言うと、「えー?!」と、エリカ以外のメンバーからどよめきが起こった。
「おめでとうやなー」と、佳奈が言う。
「ほな今日の放課後は、エリカさんの歓迎会と木之川さんのおめでた祝いせなアカンやん」
「それもえぇなー」と、ヒナ子。
と、話しが盛り上がって来たところでお昼休み終了のチャイムが鳴ったので、亜沙子たちは食べ終わった食事のトレイを返却棚へ持って行き、教室へ戻る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます