第2章~青島エリカ~
第10話:青島エリカ。~その1~
エリカが亜沙子たちのクラスに転入して来たその日の昼休み。
エリカの隣の席の亜沙子が彼女に話しかける。
「ねぇ、青島さん?」
「は、はい」
「そんなに緊張することないわ」
「なに?」
「私、木之川亜沙子。よろしくね」
「は、はい、青島エリカです、よろしく」
そこへ、隼人とヒナ子がやって来た。
「おーい亜沙子、学食行こや~」
「あ、ちょっと待って、ね、青島さんも行こうよ」
「え、いいんですか?」
「えぇってえぇって」
亜沙子とヒナ子、エリカ、隼人の4人は、学食へ向かった。
その途中、廊下で。
「ねぇ青島さん?」
「前はどんなトコに住んでたの?」
「えと、静岡の、電車も走ってない田舎町です……」
やはりエリカはまだ緊張しているようだ。
「えーっと、まきのはら、やったっけ?」と、亜沙子が聞く。
「はい」
「電車も無かったの?」
「はい」
「じゃあどうやって学校通ってたの?」
「一番近い電車のある町までバスで片道1時間近くかけて通ってました」
「すっご!ほな、自然とかいっぱいなんちゃうん」
「そうですね、山も海も凄くキレイで夏になったら海水浴客でいっぱいになります」
「へぇー、いいなぁ、行ってみたい!」
「ほんまやねぇ」と、ヒナ子も相槌をする。
「青島さんは、こっちには親の仕事かなんかで引っ越して来たん?」と、隼人。
「んと、親の仕事じゃなく、私の意志で来ました……」
「青島さんの?」
「はい……まぁ、父の会社の支店も大阪にあるのも、ありましたけど」
「お父さん、何かお仕事を?支店?」
「はい……あの、あんまり大きな声で言いたくないし、あまり知られたくないので、騒がないで下さる?」
「え?あ、う、うん」
「"
「もちろんあるわよ、日本でも有名な大企業じゃない」
「私の家の会社なんです」
と、突然の告白に一同廊下で立ち止まって一瞬ボーっとしてお互いの顔を見合わせた。
そして、『えーーーーーっ??!!』と、3人は叫んだ。
「ちょ、叫ばないで、て」
「そ、それほんまなん?」
「はい」
「ほな青島さんむちゃお嬢様やん!」
「一応……」
「一応、て、バリバリのお嬢様やん!」
「よぉ亜沙子?」
「なぁによ、隼人」
「お嬢様ならうちのクラスにおるやないか、ホラ、立花コーポの……」
「あぁ、そういや居たわね。ねぇ、青島さん?」
「はい?」
「あなた、立花コーポレーションって通信会社知ってる?」
「はい、知ってます。父の会社と業務提携結んでますので」
「そこのお嬢もわたしらのクラスに居るの」
「そうなんですか?」
「うん」
「あとで紹介してあげるわ」
「あ、はい」
「多分学食行ったらいるんちゃうかな」
などと会話している間に学食に着き、券売機の行列に並ぶ。
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