第7話:日曜日、デートのあと。

天保山でのデートを楽しんだ2人は、バスに乗ってなんば駅まで戻って来た。

駅前のターミナルでバスを降りた隼人は、亜沙子のゆっくりした歩調に合わせ、手を繋いで歩く。


「亜沙子?」

「ん?」

「お腹とか空いてへんか?」

「んー、特には」

「そか、このまま帰るか?」

「うん、帰りたい」

「ほな3階まで上がって電車の乗ろか」

「うん」


そう言って2人は、南海なんば駅構内にある長いエスカレーターで直接3階ホームまで向かい、ICカードで改札機をタッチしてくぐり、7番線ホームに止まってる普通電車に乗って出発を待った。


「隼人?」

「なんや?」

「今日は連れ出してくれてありがとうな」

「えぇって。それより、僕ら、付き合うんやな?」

「そやな」

「何より嬉しいわ」

「ありがとう」

「いやいや」


などと会話していると、発車の案内が響き、ドアが閉まって、電車はゆっくり発車した。

なんば駅から約10分ほどで、住吉大社駅に電車は到着し、2人は電車から降りた。


「ふあー、やっと帰って来たぁ」と、亜沙子が言う。

「亜沙子よぉ」

「なぁにー?」

「明日も朝ちゃんと迎えに行くからいっしょに学校行こうやぁ……」

「学校なぁ」

「どないしてん、なんかあったんか?」

「しんどいねん、教室おるのん」

「そっか、まぁ無理にとは言わんけど。家まで送るから」

「ありがとー」


2人は手を繋いで広い公園の中をゆっくり歩いて亜沙子の家まで向かって、玄関の前に着くと、亜沙子が隼人にこんなことを聞いて来た。


「上がってお茶でも飲んでく?」

「いや、今日はえぇわ、ありがとうな」

「うん、隼人もありがとう」

「ゆっくり休めよ」

「うん、あとでまた出来たらLINEするな」

「おう、ほなな」

「ほなー」


そう言って亜沙子は隼人の後姿を見送ったあと、「ただいまー」と言って家の中に入って行った。


「おかえりなさい」


母親が出迎える。


「ただいま」

「どこ行ってたの?」

「隼人と天保山」

「ま、デートね」

「そんなとこ。ちょっと疲れたから部屋で寝て来るね」

「あ、うん」


母親と軽く会話したあと、亜沙子は2階の自分の部屋に行き、部屋着に着替える余裕も無く、そのままの格好でベッドにバフッと、倒れ込むようにうつぶせで横になって、気が着いたら自然と寝ていた。


今日は、亜沙子にとって、初めて彼氏が出来た日でもあり、とても有意義な日曜日であった。

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