第6話:日曜日、隼人とのデート。~その2~

天保山でデート中の亜沙子と隼人の2人は、手を繋いで一緒にマーケットプレイスの方へ行く。

マーケットプレイスのとあるショップへ亜沙子が入る。


「はーやーとー」

「なんや?」

「ほらここっ!指輪売ってんで!」

「買うか?そんな高いのはプレゼント出来ひんで」

「私が買うっ!」

「お前なぁ、こうゆうのは男が女に買うもんや」

「そ、そうなん?」


隼人は、物陰でこそこそと財布の中身を確認する。


「何してん?」


と、亜沙子は下の方から隼人の顔を覗く。


「や、な、なんもしてへん」

「ふーん」

「で、どれが欲しいんや?」

「そやなぁ……この辺りがえぇなぁ……て」


亜沙子は2~3個ほど指輪を持って来る。

隼人は値札を見て、「まぁ、これくらいなら……」と、自分の指のサイズも店員に測ってもらい、2つの指輪を買う。


「ほ、ほら、プレゼントや」

「うわー、ありがとう、隼人っ!大切にするっ!」

「お、おう」

「なぁなぁ、観覧車行こ観覧車っ!」

「わーかった、って」


そして2人は、買ったばっかりの指輪をして腕を組んで大観覧車の方へと向かった。

チケット売り場で隼人が2人分のチケットを買い、1枚を亜沙子に渡す。

列に並び、順番が来ると、スタッフが2人をゴンドラへ乗せる。


観覧車はゆっくりゆっくりと上へあがっていく。

今日は天気も良く、晴れているので、遠くは淡路島まで見渡せる。

その反対側は、大阪市内を一望出来、2人のテンションもあがる。


「隼人っ!あれ、ユニバやんな!」

「おー、そうやなぁ、ユニバも見えるんかっ!」

「隼人の横行ってえぇ?」

「えぇよ」


亜沙子は笑顔で隼人の横に来た。


「隼人、キス、しよ……」

「えぇんか?」

「うん……」


そして隼人は、ドキドキしながら亜沙子の体をそっと抱きしめ、ピンク色の唇に、そっと自分の唇を重ねた。

それは、とても甘く、2人にとっても初めてのキスだった。


ゴンドラが半分くらい回ったところで、2人は唇を離した。


「ふあ……」

「ふぅ……」


「ど、どうやった?」と、隼人が聞く。

「むっちゃ良かった」と、亜沙子は答える。


ぼーっとした感覚が続く中、ゴンドラは地上に着き、スタッフがドアを開け、「おかえりなさーい」と元気良く挨拶して来たので、2人はそそくさとゴンドラを降りて地上へ戻った。


地上へ戻ってから亜沙子が隼人に一言。


「隼人?」

「んー?」

「私、なんか疲れた……」

「今日は楽しいもんな。ちょっと休むか?」

「ううん、ちょっと、家に帰りたいな、って」

「しんどいか?」

「うん、ちょっと、な」

「階段のとこでドリンクでも飲むか」

「うん、薬も飲みたいし」

「そか」


そう言って2人は階段の座れる場所まで行き、くっついて座った。


亜沙子は、バッグの中から薬ケースを出し、その中から頓服薬を出した。

そして、ペットボトルのドリンクを出し、薬をパクっと口の中に入れ、ごくごく、と、お茶を飲んだ。

そして、「ふぅ~……」と、長いため息を一つ付いた。


その様子を心配そうに見ていた隼人が、「大丈夫か?」と、一言。


「うん、大丈夫、いつものことやから」と亜沙子が答える。


「帰るか?」と、隼人が聞く。

「そやな、帰りたい」亜沙子が答える。


2人は手を繋ぎ、バス乗り場へ向かい、なんば駅行きのバスが来るのを待った。

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