第5話:日曜日、隼人とのデート。~その1~

隼人と一緒に家を出た亜沙子は、2人で住吉大社駅まで向かい、ホームへ上がり、なんば行きの普通電車に乗って難波まで向かった。


「で、隼人?」

「んー?」

「どこ連れてってくれる、言ってたっけ?」

「あぁ、天気もえぇし、天保山てんぽうざんでも行って観覧車でも乗りたいなぁ、て」

「観覧車なぁ……」

「えぇやろ?」

「まぁ、な。もちろん隼人がおごってくれんやろー?」

「割り勘や!」

「なんでよ~、さっき私のおっぱい見たやんか」

「お前が見せたんやろがっ!」

「そうやった?」

「そうやっ!」

「何顔赤くしてん」

「う、うるさいっ!」

「私のおっぱいどうやった?」

「ど、どうって……乳首がピンク色で可愛かった……」

「あら、ありがとう、うふふ……」

「なんやねん」

「隼人やったら触られてもえぇかなー、て思った」

「おま、お前なぁ」

「はーやーとー」

「な、なんやねん」


亜沙子は、隼人の腕に自分の腕を絡めて抱き付いて来た。


「ちょ、電車の中でそんなことすなっ!」

「えぇやん、今日はデートなんやろ?」

「ま、まぁな……」


そして電車はカーブを描き、なんば駅へ滑り込む。

2人は3階にある広大なホームからエスカレーターで1階まで降り、天保山行きのバス乗り場まで向かった。


しばらく待つと、天保山行きのバスが着き、ドアが開いたので、2人は、一番後ろの席に座った。

数分して、「発車します」と案内があり、ドアが閉まり、バスが動き出した。


その車内……。


「今日も天気えぇなぁ」と、隼人が言うと、亜沙子も、「そうやなー、絶好のデート日和や」と、応えた。


「あ、そうや」

「どないしたん?」

「安定剤飲んでえぇ?」

「ん?あ、あぁ、えぇで」


亜沙子は、バッグの中から薬ケースを出し、頓服で出してもらっている安定剤を取り出し、シートから1錠割って口に入れ、ペットボトルのお茶をくいっと飲んだ。


「だ、大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

「乗り物乗る時はこれ飲んどかな落ち着かんからな」

「そうか……」

「特にバスはな。揺れたりするし」

「そやな」


それから数十分後、バスは、天保山に着いた。


「うわー、観覧車やっ!私、来るの多分むちゃ久しぶりや!」

「そやろー?来て良かったか?」

「うん、ありがとう、隼人っ!」

「おう」

「で、どうするん?いきなり観覧車乗るん?」

「お前はどうしたい?」

「海見たいっ!」

「海か、ほな岸壁行こか」

「うん」


2人は手を繋ぎながら海の見える岸壁の方へ歩いていく。


「うわー、海、久しぶりに見た~」


と、亜沙子が無邪気にはしゃぐ姿を見て隼人は、「連れて来て良かったな」と、心の中で思っていた。


「どうや?亜沙子」

「うん、来て良かった。ありがとう、隼人」

「どういたしまして」

「隼人?」

「んー?」

「私、隼人が好きや」

「は?」

「そやから、隼人が好き、って!」

「それはつまりえーっと、僕いまコクられてんのか?」

「そうやっ!」

「ほんまに、僕でえぇんか?」

「なに言うてんの!小さい頃からいっつも私のこと見て来てくれたのにっ!それとも隼人は私やったらアカンの?」

「アカンことない、むしろ嬉しい……ありがとう。僕もお前のこと好きや」

「嬉しいなぁ……」

「なぁ、チューしてほしい」

「は?ここでか?さすがに人目付くしアカンやろ」

「ほな観覧車の中やったらえぇのん?」

「そうやなー、したいな」

「その前に買い物行こー」

「買い物?」

「うん、マーケットプレイスやったら指輪とかありそうや」

「ゆ、指輪買うんか?!」

「当たり前やん、カップルやったら指輪は当たり前やろ?」

「まぁ、な……」

「行こ行こっ!」


と言って2人はマーケットプレイスに向かった。

デートはまだまだ続く。

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