第4話:日曜日。

今日は日曜日。亜沙子にとって一週間で一番心も体も休まる日である。

昨日の夜、睡眠剤を飲んで、朝になってからも亜沙子はぐっすり眠っている。


そこに、LINEの着信がうるさく鳴った。

亜沙子は、ベッドの枕元に置いてあったスマホをもぞもぞと取る。


「はぁ~い……」

「亜沙子?僕や」

「あぁ、隼人、おはよう、どないしたん?」

「や、今日日曜日やし、お前、何してんかなー?て」

「まだ寝てたぁ~……」

「寝てたんかい、もう10時回ってんぞっ!」

「えぇやん、日曜日くらい~……」

「どっか行かへんか?」

「隼人と?」

「そや」

「んー、お昼以降からやったら……もうちょい寝かせて……」

「アカン、起きぃ」

「わぁかったー……」

「今からお前の家、行くからな」

「わかった、て」


そう言って2人はLINEを切った。

亜沙子は、仕方なくパジャマのままベッドから出て階下の食堂へ行く。


食堂には母親が居たので、「おはよう」とあいさつをする。

母親も、「亜沙子、おはよう」と返して来る。


「今日は早いのね」

「隼人に起こされた……」

「隼人くんに?」

「もうすぐ来るて」

「あら」


と、話ししていると、インターフォンが鳴る。

母親が出て行くと、隼人が、「おはようございます」と挨拶をして来たので、母親も、「隼人くん、おはよう。ささ、入って」と言う。

「おじゃまします」と言って、隼人は家の中に入って来た。


食堂に行くと、亜沙子はパジャマのままで朝ごはんを食べていた。


「お、起きとるな、亜沙子」

「あんたが起こしたんやない」

「まぁな」

「どっか遊びに行こうや」

「今ごはん中や」

「見たらわかるわ」

「日曜くらい家でまったりしたいのに」

「まぁそう言わんと」

「分かったよ」


と、亜沙子はごはんを食べ終えて、隼人に話しかける。


「隼人、私の部屋来て」

「おう」


2人は階段を上がって亜沙子の部屋に行く。


「で、どこへ連れてってくれる、て?」

「んー、たまにはデートでもしようや」

「デート?隼人と?」

「そや?お前、好きな相手とかおらんやろ?」

「なんやねんその言い方……まぁえぇわ、出掛ける準備するから」


そう言って亜沙子はパジャマを脱ぎ、隼人の前で下着姿になった。

パジャマの時は、ブラは着けないので、ショーツだけだったので、隼人は焦って、

「わーわーわー!お、おま、いきなり何脱ぎだすねん!」

と、叫んだ。


「え?そやから着替える準備……」

「てかブラジャーはっ?!」

「寝る時はしてへんて」

「ほ、ほな早よ付けいっ!」

「どれにするかくらい選ばせてよ」

「お前、僕に胸見られて恥ずかしくないんかっ?!」

「別に?だって隼人昔から私の裸知ってるやろ?」

「し、知ってるけど中学以降はあんま見てへんしな」

「どう?私の体」

「どう?て、今更お前の裸見てもなぁ……」


と、隼人はショーツ1枚だけの亜沙子の体をまじまじと見る。


「胸、おっきなったか?」

「なったで」

「触りたいやろ?」

「別に?」

「もう!」

「えぇから早よ支度せぇ」

「分かったよー」


と、隼人の前で下着を付け、春物の女の子っぽいかわいらしい服に着替え、化粧台に座って髪を整え軽くメイクをする。


「お前もメイクするようになったんやなー……」

「いちいちうるさいっ!」


と、亜沙子は隼人に言う。


メイクが終わった亜沙子は、隼人に向かってこう言った。


「どう?今日のコーデ」

「えぇんちゃう?」

「ほな出掛けよ」

「おう」

「で、どこ連れてってくれん?」

「天保山でも行こか」

「あー、えぇなそれ」


2人は一緒に下の階に降りて行った。

そして亜沙子は母親に、「隼人と出掛けて来る」と言って、玄関でお気に入りの靴を履き、2人で家を出て駅まで向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る