第13話

「ん?この気配は……」


 無が、そう言って窓に向かって歩く。


「来た……?」


 ボクが、無に尋ねる。


「ああ。

 まぁ、雑魚いな」


 無が、そう言うと校庭に大砲を持った怪人が現れる。

 それも現れたのは1体や2体だけじゃなかった。

 無数の白い旗を持った怪人たちもいる。


「あの旗を持っているのはいったい……?

 なんか沢山いるんだけど……」


 早良が、涙目でブリ男に尋ねる。


「あれは白ハッターです。

 回復魔法と補助魔法が得意な少し厄介な敵です」


「白ハッター……」


「まぁ、怪人に比べたら戦闘能力は低いので気楽に……と言いたいのですが……

 補助魔法を掛けられた怪人はそこそこ強くなるのでその怪人と戦う際は注意ですね」


 ブリ男が、そう言うと早良はうなずいた。


「わ、わかりました。

 青い光が、私を照らす!キュアな私が貴方を照らす!」


 早良が、そう言うと早良の衣装が変わる。

 そして……


「魔法少女ブリキュア・サーラ!ここに参上!」


 早良は、サーラに変身した。


「って、こんなところで変身して大丈夫なのか?」


 清空がそう言って周りを見る。


「大丈夫です。

 みなさんとっくに避難していますよ」


「よし。

 あの怪人は俺に任せろ。

 サーラ、お前は白ハッターの方を頼む」


「あ、はい!」


 無の言葉にサーラがうなずく。

 そして、それと同時に怪人が大砲を学校に向かって放つ。

 すると白ハッターが、その大砲の弾に巨大化の魔法を唱える。

 するとみるみるとうちに大砲の弾が大きくなる。


「って、あんなの撃ち落とせないよ!」


 早良が、慌てふためく。


「これは、任せろ!」


 そう言って無が大砲の影を捕らえる。

 そして、そのまま大砲の弾の動きを止めその上に乗ると怪人の方に向かって走った。


「サーラさん。

 今のうちに白ハッターの駆除を……」


 ブリ男がそう言うとサーラに指示を出す。


「あ、はい」


 サーラはうなずくと1体ずつ白ハッターに弓矢を当てて倒していく。

 大砲の弾が動く。

 大砲の弾の下に無がいた。

 無はその大砲の弾を怪人にぶつけると大砲が爆発した。

 校庭に大きく穴が開く。

 それと同時にそこにいた怪人がその場で丸くうずくまり、そして消滅した。

 指揮系統を失った白ハッターたちは戸惑いながらその場から逃げ出した。


「まぁ、余裕だな」


 無がそう言って早良たちに向かって親指を立てた。


「え?もう終わりなんですか?」


 早良が驚く。


「はい。

 お疲れ様です」


 ブリ男が笑う。


「私、何もできてない気が……」


 早良が苦笑いを浮かべる。


「まぁ、最初はそんなもんですよ」


 ブリ男がそう言うと清空が笑う。


「早良かわいいじゃないか!」


「え?」


「サーラって言ったほうがいいな。

 かわいいぞサーラ!」


「あ、ありがとう」


 サーラは、少し照れた。

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