第14話

「って、いきなり学校に来るものなのか?」


 清空が、ブリ男の方を見る。


「んー。

 たまたまじゃないでしょうか?」


 ブリ男がそう答えると無が影を伸ばしサーラたちの方へと移動した。


「それ、便利な能力だな」


 清空が、無の方に向かってそう言うと無は小さく笑う。


「この技は、危険な技だ……

 良い子は真似するなよ?」


 すると清空がすぐにツッコむ。


「真似は出来ないから安心しろ」


「それは、残念だ」


 無が、そう言うとボクの方を見る。


「ボクは、怪我はないようだな」


「うん。

 ありがとう」


「まぁ、こんな感じで怪人はボクを狙ってきますからサーラさんも護れる範囲でいいので護ってあげてください」


 ブリ男が、そう言うとサーラはうなずいた。


「あ、はい」


「さてさて、サーラさんもそろそろ姿を戻しましょう。

 人の気配がします」


「あ、はい……」


 サーラは、早良へと姿を戻した。


「はい。

 みなさまご苦労様でした」


 ブリ男は、そう言ってニッコリと笑う。


「じゃ、今日は鰤谷の奢りで焼肉だな!

 鰤谷の歓迎会も兼ねて!」


 清空がそう言うとブリ男が戸惑う。


「ちょっと待って下さい。

 割り勘じゃないんですか?

 奢りってなんですか?僕は貧乏なサラリーマンですよ?」


 ブリ男が、慌てながらそう言うと早良が小さく笑う。


「あ、早良が笑った」


 清空が、そう言ってニッコリと白い歯を見せる。


「ほう、伊藤もそんな顔が出来るんだな」


 無は、そう言って優しく微笑む。

 ボクは、不思議そうな顔で早良の方を見ている。


「ほら、男なら『早良さんのその笑顔に乾杯!』とか言ってみろ!」


 清空が、そう言ってケラケラ笑う。


「なんですか?

 その古臭い口説き文句は……」


 ブリ男が、ため息をつく。


「寿司で良ければ親父に頼んでやろうか?

 格安友だち料金で、寿司セットを提供してくれるかもしれない」


「寿司もいいな!」


 清空が笑う。


「だろ?」


 無も笑う。


「わかりました……

 格安友だち料金でお願いします」


 ブリ男は半ば押される感じで、それを承諾した。

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