第11話
「じゃ、私……
本当に魔法少女に?」
早良が、小さな声でそう言うとブリ男は、うなずく。
「はい。
早良さんは立派な魔法少女ブリキュア・サーラですよ」
ブリ男の目が楽しそうに笑っている。
「でも、これって正体とかバレたらダメなんじゃないですか?
正体がバレたらフライドチキンにされたり頭がクルクルパーにされたりしないんですか?」
早良が、焦りながらそう言うとブリ男がため息混じりに言葉を放つ。
「それは、呪いですか?」
「へ?呪い?」
早良が、目を丸くさせる。
「はい。
呪いです、そんな滅茶苦茶な契約……
どこの社の契約なんですか……?
全くその滅茶苦茶な契約をさせる悪魔……この僕が成敗しなくてはなりませんね」
ブリ男が、そう言って再びため息をつく。
「……あれって悪魔だったっけ?」
清空が、そう言うと早良がうなずく。
「宇宙人だよね?たぶん……」
「宇宙人!それはそれは……そんなのに捕まったのは不運ですねぇー」
ブリ男は首を横に振る。
「悪魔だって似たようなモノじゃないんですか?
正体がバレたらダメだという契約の代わりに力を授けるって……」
「人間とは全く愚かな生き物です」
ブリ男が、首を振りながらため息をつく。
「どういうことですか?」
早良が、首を傾げる。
「あのですね。
それ悪魔がやったとしたら、魔界国憲法違反です」
「魔界国憲法……違反?」
早良の頭が混乱する。
「いいですか?
早良さん。魔族と人との契約はフィフティ・フィフティでないといけません。
そのたびにお願いすることはまだ許容範囲ですが……
『力を授ける代わりに世界を護りなおかつその正体をバレたらペナルティーを課す』
そんな、契約成り立つわけがありません」
「へ?」
早良の表情が固まる。
「噛み砕いて言うと、『力を授ける』その代わりに『世界を守る』までは、フィフティ・フィフティです。
ですが、『正体がバレたらペナルティーを課す』は追加行為にあるってわけです。
しかも、ペナルティーを課す契約は基本裏メニューです。
魔族からこの契約を出すこともまた魔界国憲法違反なんですよ。
ただこの契約は特例があり、魔族が人間に召喚されなおかつ人間から契約を出されない限りその契約は無効です。
でも、宇宙人の場合……
魔界国憲法違反には、該当しません。
残念ながら……」
「そ、そうなんですか?」
「まぁ、早良さんの場合。
僕が出した契約は『怪人から地球の危機を救う』です。
そして、貴方はそれに同意し力を得た。
これで、フィフティ・フィフティな契約の成立です」
ブリ男が、右指人差し指を一本立て、左人差し指一本立てたあと両手を広げた。
「じゃ、周りの人に言ってもいいんですか?」
「貴方にその勇気があるのならかまいません」
「え?」
「貴方がブリキュアであることが公になれば、貴方の身内・友人が狙われ人質にされることもあるでしょう。
その覚悟があるのなら言っても大丈夫です」
「それは、困ります!」
「はい。
だから、貴方がブリキュアであることは内緒ですよ」
ブリ男が、そう言って人差し指を立ててニッコリと笑った。
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