22:00
「「ハッピークリスマス…」」
子供達におやすみの代わりに伝えて
おでこにキスをする。
部屋をオレンジ色の豆電球にして静かに部屋を去る。
「よかったわね。」
「うん、ありがとな。プレゼント用意してくれて。」
「プレゼントって言ってもショートケーキ2個だけどね。」
「僕だけじゃちょっとギリギリだったから嬉しいよ。」
「ううん、協力してこそ家族でしょ。」
「ありがとう…。」
妻にはいつも感謝している。
この不況の波で仕事がなくなった時、
なくなってからの仕事探し、
その間の家にいる時間、子供に不信感を与えることなく過ごせた。
けど、妻にはすごく負担をかけてしまって
申し訳ない。
だから今日ちゃんと話そうと思う。
「少し、話をしてもいいかい?」
「うん、どうしたの?」
「考えたんだけど…君と子供達は実家に戻った方が今後のためにいいんじゃないかなって思ってさ。」
「なんで?」
「来年から子供達は小学生になるし、ここの家賃だっていつもギリギリだ。だから君たちにはもっと安定した暮らしをしてほしいと思ってる。」
「あなたはどうするの?」
「僕は安い所に住んで、君たちのために働くよ。今はバイトでしかないけど社員になってちゃんとした家でまた四人で暮らせるように頑張る。」
「いいのよ。私はあなたと子供たちと一緒にいたいの。」
「でも…君も無理してるだろう?」
「さっきも言ったでしょ?協力してこそ家族なの。バラバラになっちゃいけないわ。」
「だけど、今のような生活は今後出来るかわからないんだ。お願いだ、少しの間だよ。」
「あなたが無理することになるじゃない。」
「いいんだ。元は僕がクビにされたからなんだから。」
「いいえ。あなたのせいでも誰のせいでもないの。だから私たちから離れないで。」
二人でソファに向かいながら
涙を流して話し合う。
僕が…僕がたくさん働いてみんなを守らないといけないんだ。
これから小学生になることだしもっとお金が必要になる。
だから今のままではダメなんだ。
わかってくれ。
[…は、次…曲、Happy Xmas。あなたに幸多からんことを。]
扉の外から何か音がする。
二人で涙を拭きあって扉を見てみると子供達がラジカセを持って立っていた。
「どうしたの?まだ眠くないの?」
「ううん、なかなおりしてほしくて。」
「パパとママ、これきいてるとき、いつもわらってるからもってきた!」
「ありがとな。」
子供達を抱き上げる。
子供から見てもなにか異変を感じていたんだろう。
ごめんな、心配かけて。
「なかなおりのちゅー!」
双子の子供がちゅーをする。
いつもみんなが笑顔になる魔法。
妻も一緒に四人でキスをする。
ありがとう、みんなのおかげで今までやってこれたことなのに僕は離れようとしてた。
気づかせてくれてありがとう。
みんな、大好きだよ。
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