4:00

やっと地獄の二日間が終わった。


家に帰って、ちゃんとお風呂入って、朝10時におもちゃ屋並んであの子の頼んでいたものを買って実家に迎えに行かなきゃ。


二日もいなくて寂しかったかな。

でもあと少しで小学校だから稼がないといけないの、構ってあげられなくてごめんね。


家に急いで帰ろうとして、近道をしようとする。

初めて入る道だけどあっちに繋がってそうだから大丈夫よね。


初めて入った路地には一つの明かりが灯っていた。


こんな時間にまだお店開いてるんだ…。


中からはいい出汁の香りがしてくる。

おでんを売りにしてるみたい。


…家に帰っても何もないからここで食べちゃおうかな。


[ガラガラガラ…]


「いらっしゃい、ラストオーダー10分前だけどいいかい?」


優しそうなおじさんが笑顔で接客する。


「はい。」


カウンターに座る。

流石にこの時間は誰もお客さんがいないみたいだ。


[May happiness come to everyone who listens.

皆さんこんばんわ。クリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]


昔懐かし的な居酒屋だ。

ラジオかけてる感じが昭和感あるけど、流れているものが少しマッチしない。


このマッチしない感じも独特な雰囲気が出て好きだな。


「緑茶と、大根、はんぺん、牛すじ、こんにゃく、餅巾、お願いします。」


「はいよー。」


おじさんは緑茶を先に作ってから、

おでんを更に入れ渡す。


「いただきます。」


はぁ…久しぶりに温かいもの食べたからとても体にしみる。


「美味しいかい?」


「はい、とっても。」


「よかった。ちょっと二階に用があるから行ってくるね。ゆっくり食べてください。」


そう言っておじさんは横にあった階段を上がっていった。


[では、次の曲、Christmas time is here。あなたに幸多からんことを。]


わぁ…眠くなる曲が流れる。


多分わたしを寝かせようと世界が動いてる。


でも…帰らないと、準備しないと。

息子にプレゼントあげないと。



「あれ?」


さっききたお姉さんがカウンターで突っ伏して寝てしまってる。

だいぶお酒臭かったからな。

寝てしまってもしょうがないだろう。


店にある膝掛けを数枚お姉さんにかける。


店を完全に閉まるまで寝かせておこう。

少しでも酒抜いて安全に帰ってくれ。

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