13:00
いいな、こうやって二人でのんびり散歩する時間も。
サクサクと二人で雪を踏みしめながら、
歩く大きい公園。
子供たちは雪で雪だるまを作ったり、
坂からソリで滑ったりとても楽しそうにはしゃいでいる。
その様子を親は笑顔で見守りながら暖かいドリンクを飲んで談笑している。
すこし先にシートをひいて一人、
ラジオを聴きながらこの様子を楽しんでいる老人が一人いた。
みんなそれぞれの時間をこの公園で楽しんでいる。
[May happiness come to everyone who listens.
皆さんこんにちわ。明日のクリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]
だんだんとラジオの音が近づく。
「君たちも夫婦かい?」
突然ラジオの持ち主の老人が話しかけてきた。
「いいえ、違いますよ。」
「そうかい、いやあとてもお似合いだったからつい聞いちまってな。すまんすまん。」
と言ってシートを片付け始める老人。
しかしラジオはつけたまま。
[では、次の曲、Winter Wonderland。あなたに幸多からんことを。]
クリスマスでいつも聞く曲が流れる。
この曲を聴くと、あぁまた一年たったんだなって感じる。
あなたがずっとこのまま隣にいてくれたら嬉しいな。
「じゃあお二人さん、お幸せに。」
「おじいさんもお元気で!」
老人が見えなくなるまで手を振る。
角を曲がるとき老人が手を振り返してくれた。
なんだか嬉しかった。
「俺たちも遊ぼ!」
と言って走り出す彼。
「ポケットに手入れたままだと危ないよ!」
「はいはいー。」
と言って少し言ったところでしゃがんでこちらに背を向けて雪玉を作ってる。
急にはしゃぎだしてどうしたんだろ。
でもそういうところも好き。
「行くよー、キャッチして!」
と言って彼は小さめの雪玉をふんわり私に投げてきた。
キャッチ形式で遊ぶのね。
ゆっくり私の方へやってくる雪玉をしっかり目で追いキャッチする。
「行くよー!」
私が投げようとすると、
「待って! 優しく壊してみて。」
私の元へ歩いてくる彼。
なんだろう?何か入っているのかな。
静かに雪玉を崩すと雪の中に一段と輝く指輪が入っていた。
「え…?」
「俺と家族になりませんか?」
いつも敬語なんて使わない彼が改まった口調で私に投げかけてきた質問。
もちろん、答えはちょっと前から決まってる。
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