14:00
「よし、全部揃った。」
僕は猛吹雪の中スーパーでクリスマスの買い物をする。
親や兄弟、友達に頼まれたって動かないけど、
あの人のためならすぐに動く。
今日はほんともう動きたくないくらい寒いし、視界悪いし、外に出る意味を感じられないくらいだったけど、
あの人からメッセージが来て飛び起きたよね。
そして今あの人から頼まれたものを
車に積んであの人の家に向かっている。
いつも僕はあの人第一優先で動いてきた。
さすがに気づいてくれないともうどうアピールすればいいかわからない。
あの人の家に到着した。
[ピンポーン]
大量の荷物を持ちながらインターフォンを押す
。
中から足音が聞こえる。
「ありがとー!寒いでしょ。中入って!」
彼女は僕が持っていた荷物を一つ持ち中へ入れる。
僕は玄関で雪を落としハンガーを借りて玄関にコートを干す。
中に入ると僕の買ってきたものをどんどん整理していく彼女。
なんだか同棲カップルみたいな感覚になって嬉しくなった。
[パン!]
急についていた電気が全て消える。
外がまだ明るくてよかった。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。停電直しに行きましょ。」
と言って近くにあったスマホでライトをつけて風呂場に向かう。
「あれ…あげてもつかないわね。」
「…あ、ここら辺一帯が停電だって。この雪のせいで電信柱倒れたらしい。」
スマホのニュースを見ながら話す。
「そうなのね…じゃあスマホ無駄遣いしないようにラジオつけとこっか。」
と言ってまたさっきの部屋に戻り、ぐるぐるとラジオを発電して電源をつける準備をする彼女。
こういう時甘えてくれればいいのにな。
でもこの自立している姿も好きなんだよな。
「OK、とりあえず明るいうちに買ってきてくれたもの片付けちゃお。」
「はーい。」
僕たちは買ってきたものを整理し、すぐ使うものをテーブルにだしておく。
今日は彼女と新作のホラー映画を観る予定だったのにみれなくなってしまった。
[May happiness come to everyone who listens.
皆さんこんにちわ。明日のクリスマスが終わるまでひとつまみの軌跡をお届けします。]
奇跡か、だったら停電をなんとかしてくれる奇跡を起こして欲しいもんだ。
「なんか若干暗いからろうそくつけようか。」
「手伝うよ。」
家中からろうそくを集めて自分たちが過ごす部屋が明るくなるように置いていく。
[では、次の曲、Let it Snow!。あなたに幸多からんことを。]
クリスマスに聞き慣れて曲が流れる。
「いい感じに明るくなったね。」
「そうだね。」
こんな雰囲気のいいところなのにきっとキスも何もないんだろうな。
ひと段落してソファに座る。
彼女もそのあとに続いて座る。
「来てくれてありがとう、もしあなたがいなかったら寂しい想いしていたわ。」
「よかった。君が寂しい思いしなくて。」
僕の冷たい頬に彼女の唇が触れる。
「いつものお礼。今はこれしか返せないけど。」
「十分、いや…足りないけど十分!」
クスクスと笑う彼女。
今日来てよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます