8:00
明日も仕事か。
まあ警察だから治安を守るために仕事をしてるんだけどもう少し家族と居られる時間を増やしたいな。
クリスマスや人が賑やかになる時期はいつも忙しい。
みんなが日々を楽しめるように俺たちが治安を守る。
子供もかっこいいとは言ってくれるが、ちゃんと俺のこと父さんだと思ってくれているだろうか。
妻にも子供にも寂しい思いをさせてしまって申し訳ないな。
もう少し早く帰れたら遊ぶ時間が作れるのにな。
朝の外回りのために自転車に乗り、見回りをする。
厚手のコートを着るがそれでも結構冷えるな。
早朝少し雪降ったみたいだから空気がとても冷えている。
しばらく走っているといつもの公園。
あ、あのベンチに空き缶が置いてある。
ったく、飲んだらゴミにちゃんと入れろよ。
ベンチに向かって歩く。
するとかすかに聞こえる人の声。
[May happiness come to everyone who listens.
皆さんおはようございます。明日のクリスマスが終わるまでひとつまみの奇跡をお届けします。]
空き缶の近くにあったラジオから聞こえる。
忘れ物してってるぞ。一応持って帰るか。
近くにあった自販機で缶のおしるこを買う。
冬になるとこの缶のお汁粉をときたま飲みたくなる。
ひと休憩するためにラジオが置いてあるベンチに座る。
「あったけぇ…。」
手袋していても手がかじかんでいたので
おしるこの温かみがありがたい。
[では、次の曲、Someday at Christmas。あなたに幸多からんことを。]
鐘の根から始まり、男性の想いがこもった歌が流れる。
ああ、これかクリスマスになるとよく流れるよな。
内容は英語でわからないけどいい曲だよな。
「おまわりさん。」
手元のおしるこから顔を上げると俺の子供と同じくらいの男の子が立っていた。
「どうした?迷子か?」
「ううん、これあげる。」
といってクリスマスの紙袋に入れられた何か。
すこし温もりがある、なんだろう?
「中見てもいいか?」
「うん、いいよ。」
中を開けた瞬間、バター香るとてもいい匂いのクッキーが入っていた。
「いいの?もらっちゃって。」
「うん、いつもみんなを守ってくれてありがとう。バイバイ。」
と言ってすこし遠くにいた母親と小さい女の子の元へ走っていった。
ぺこっとお辞儀をする母親。
俺もお辞儀をした。
そしてあの男の子に届くように、
「ありがとう!」
感謝を大声で伝え、手を振る。
男の子と妹であろう女の子が手を振り返してくれた。
よし、頑張ろう、俺。
ベンチから立ち上がりラジオをポケットに入れて
空き缶をゴミ箱に捨てる。
もらったクッキーを内ポケットに入れ仕事に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます