デート1
いやー、よかった…。ナンパ男達を退けたのはいいけど、俺夏美さんのことを彼女とか言ってしまった。幸い、夏美さんは気づいていないみたいだった…。
そして今俺は夏美さんに腕を組まれているという状況…。こんなこというのもあれだが、胸が当たってるんだよな…。結構ヤバいかもしれない。色々と…。
チラッチラッ
周りからの視線を感じるな…。まぁそれも夏美さんが美人過ぎるからではあるが…。
「ねぇねぇ、あの人すごい美人さんだよね〜」
「ヤベェ、すげぇ美人だ…」
こういう声が聞こえるのも無理はない。今日の夏美さんはいつにも増して綺麗に見える。
チェック柄の丈の長いワンピースを着て、長めの髪を下の方で一つにまとめ、肩に掛けている。
「な、夏美さん、今日はどこに行くんですか…?」
「ふふっ♪何も聞かずに着いてきて♪」
結局俺は腕を組まれているので大人しく着いていくことしか出来ない…。ていうか俺が行く場所を決めておくべきだったな…。
**
ガタンガタン
俺達は今電車の中にいる…。夏美さんが行きたいところはどうやら歩きでは行けない場所らしい。
それにしてもなんでこんなに混んでるんだ!?確かに今日は週末だし、俺の住んでいる辺りもまあまあ都会ではあるがここまで混むか…?
そのせいで俺は今、夏美さんに両手で壁ドンする形で立っている…。いかんせん人が多いから俺が手を着くのをやめれば夏美さんの身体に触れてしまう…。それだけは避けたいからなんとか頑張らないとな…。
夏美さんなんか大人しいな…。さっきからずっと下を向いて喋らない夏美さん。髪の間から覗く耳は赤く染まっている。恐らく電車の中が混んでいて暑いのだろう。
この距離だから夏美さんの香水の匂いが鼻をくすぐる。ちょっとドキドキしてしまう…。
早く夏美さんの目的の駅に着くことを願うしかない…。
(夏美視点)
近いよ、近過ぎるよ〜!ちょっと顔を上げるとすぐ目の前に翔君の顔が…。でもこのまま私が顔を近づければキスが出来るかも…ってダメよ私!こんな状況で頭がおかしくなってるんだよ…、多分…。
ドキドキが止まらないよ〜!早く降りないと心臓がもたない…。でもこの状況をもっと堪能したい自分もいるんだよ…。
はぁ。顔が真っ赤なのバレてないかな?
**
とりあえずなんとか目的の駅には到着したらしい。電車に乗った時間は十五分ぐらいだったが体感としては1時間ぐらいかかったイメージだ…。
しかも電車に乗っていたほとんどの人がこの駅で降りた。ここの近くになんかあるのか?
「じゃあ、行こっ!」
さっきまでは大人しかったのにまた急に元気になっている。やっぱり電車の中が暑かったんだな。
そうして手を引かれ連れてこられた場所には大きな遊園地があった。
「最近できたばっかりらしいよ〜」
「へぇ、そうなんですね。知らなかったですよ」
なるほど、だからさっきあんなに人がいたわけか…。
「じゃあ早く入ろっ!」
元気過ぎる夏美さんを不思議に思いながらも俺は遊園地の門をくぐった。
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