お弁当
「海斗〜。連れてきたぞ〜」
俺と中谷さんは海斗が待っている屋上に来た。
「あれ?中谷さん?」
「お〜。やっぱり海斗も知ってたか」
「うん。まぁ、同じクラスだしね。それに中谷さん美人だし」
そういうことをサラッと言えてしまうのがこの男。なんでやつなんだ。これは女の子も惚れるのは頷ける。ムカつくがな。
あれ?中谷さんさっきから静かじゃね?そう思って彼女の方を見ると顔を真っ赤にして下を向いていた。さっそく照れてしまっている…。
「じゃあ、食べるか。昼飯」
**
そう言っていたのだがどうしよう…。俺購買でご飯買うつもりだったから今なんももってないんだよ…。
「翔どうしたの?ご飯食べないの?」
「いや…。今日弁当持ってきてないんだよ…」
誘ったのは俺なのに肝心の俺が弁当持って来てないって…。
「そうなんだ!じゃあ僕の弁当食べる?」
「いいのか…?」
「うん!いいよ!」
ヤバい眩しい。なんていいやつなんだ…。
「でも、お前どうするんだ?」
「ん〜、そうだなぁ…」
「あっ、だったら私の食べる…?」
おお中谷さん、さりげなく自分の弁当を渡す。弁当もちゃっかり二つ持ってきてるし…。そういうアピール大事だと思うぞ。いや、まぁどの口が言っているというカンジだが…。
「いいの…?中谷さん?」
「うん…。逆に食べて欲しいというか…(ボソッ)」
「ありがとう!」
俺は聞こえたが海斗には中谷さんの最後の言葉がきこえなかったみたいだ。
「じゃあ、食べるか」
「「「いただきます!」」」
海斗と中谷さんは弁当を開けた。
いや、二つともクオリティ高くね?色とりどりにお肉や野菜が入っている。
「翔、これお箸!」
「ああ、ありがとな」
そんな感じで俺は海斗から弁当を分けてもらった。
「うまっ!」
「アハハ、お母さん喜ぶよ」
海斗はちゃんと中谷さんのお弁当を食べている。どうやら中谷さんが作ってきたらしい。
「おお〜!これ美味しいね!」
「そ、そっか…。良かった(ホッ)。あ!これも食べて。自信作だから…」
「分かった!」
なんだ?この空気?甘ったる!
今日のお昼はずっとこんなカンジだった。誰か苦いものくれ〜。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(海斗の家)
「ただいま〜」
「お帰り〜」
「今日翔とクラスの女の子と一緒にお昼食べたんだ!」
「へぇ?その話詳しく聞かせて欲しいんだけど…」
………
………
………
「それでね。翔に僕のお弁当あげたんだけどめちゃくちゃ美味しいって言ってたよ!」
「あ、ああそうなんだ〜。ふふっ♪」
「どうかした?お母さん?」
「いや、なんでもないよ〜♪」
(明日から翔君の分もつくろうかな?)
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