第6話 きれいな虹
次の日、僕は病院へと向かった。
「結依、おはよう」
「おはよう。た……拓斗くん?」
それから、僕は水族館などの思い出を
話していった。
「楽しそうだね」
「楽しかったよ」
結依の評価は少しずつ上がり40にまで上がった。
だが、それから2週間は1つも上がらなかった。
夏休みが終わり、2学期が始まった。
結依は学校にも来なくなっていた。
僕は、学校が終わると病院に向かって
結依に会いに行った。
どうにか評価をあげる方法を考えないと。
僕は屋上で空を見ながら考えていた。
『うわあーここが屋上か』
どこからか声が聞こえてきた。
振り返ると美結がいた。
「なんだ。美結か……」
「明日は雨のち晴れだって」
「だから何だ………よ」
その時、脳に刺激が走った。
結依の記憶を取り戻す方法。
それは………。
次の日、僕は病院に行き結依に
「僕に着いてきて。お願い」
そう言うと結依は立って僕に着いてきた。
結依の病状は少しずつ回復していった。
そして昨日、外出許可をもらったらしい。
結依を自転車に後ろに乗せて僕は
学校に向かった。
僕たちはあの日と同じように
門を登り、屋上へ行った。
風が心地よく感じた。
僕たちは屋上のベンチに座った。
「ここはどこ?」
「ここは屋上だよ。結依と始めて出会った」
「そうなんだー」
「結依が転校してきた日、僕はいつも通り
朝、屋上に来ていた。
そこにやって来たのが結依だったんだ」
『うわあーここが屋上か』
『雨って嫌だね』
『君は誰なの?』
『私は伊藤結依。』
『屋上って本当に良いよね』
『雨が降り止まないですね』
『だから何なの?』
『この意味が分かったら返事を教えてね』
僕はあの日、起きたことをすべて話した。
結依は僕に問題を出してくれたんだ。
雨が降っている間は君と一緒にいれる。
そして、雨が降りやむとそこには虹がある。
「虹がきれいですね」
それが僕の返事だ。記憶をなくした結依には
届かないかもしれないけど。
すると、結依が頭を抱えて座り込んだ。
「大丈夫?」
「拓斗くん……今までありがとう。
全部思い出せたよ」
「ホントに?」
「私が…拓斗くんのことが好きだってことも。
私たちが付き合ってることも」
結依の評価は100に行った。
僕たちは同時に「虹がきれいですね」と
言った。
虹なんかどこにもないが、
僕たちの心の中には7色の虹がかかっている。
その時、結依が突然倒れこんでしまった。
「結依!?」
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