第4話 花火大会に忍び寄る雷雨
それからの夏休みは2人で毎日のように
遊んだ。お互いの家に行ったり、
図書館に行ったり、水族館にも行った。
水族館ではお互いが似合う
キーホルダーを買った。
結依は僕にカピバラのキーホルダーをくれた。
「何でカビバラなの?」
「拓斗くんの顔にそっくりだから」
「それって悪口?」
結依は笑ってごまかした。
「私の方こそ何でジンベエサメなの?」
「性格は悪いし、体が大きいから」
「私の体重は53キロですけど。
どこが大きいの」
「みんなの前でそんな大声で言って良いの?」
結依は顔を赤くした。
毎日が楽しかった。
そして、花火大会の日は近づいてきた。
花火大会前日。
僕は学校の屋上に来ていた。
明日はここから見ると約束した。
夜に忍び込み、トイレの窓から侵入する。
これが作戦だ。
「いよいよ明日だね」
美結は僕に言ってきた。
「うん。楽しみだよ」
「本当に楽しめるかな?」
「どういう事だよ」
美結は僕に向かって、指をパチンとならした。
その時、忘れていた記憶が戻ってきた。
『昨夜、高校2年生の
伊藤結依さんがお亡くなりに
なりました。
伊藤さんは昨日、友達と花火大会に行っていて
友達と別れたあと、トラックに引かれました。』
結依。僕の足は震えて頭が真っ白になった。
「彼女は明日死ぬ可能性がある。
それを助けないと君はここに来た意味がない」
「うん」
責任が肩にのしかかった。
「彼女を助けてこそ評価は100になる」
「100になったらどうなるの?」
「それは、お楽しみだ」
僕が学校から出ようとしたとき、
「私を……助けて………」
どこからかかすかに声が聞こえた。
僕は身震いしながら家に帰った。
ベットに入って寝ようとしたが、
明日の事を考えると寝れなかった。
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