第2話 終章
10年後。
ジャパニーズイースタンタイム、ナインピーエム、ディセンバートゥエンティーフォース。
これから授業を始めます。
皆さんはこの文章をご存知でしょうか。
かつて日本と呼ばれた国がなくなった、10年前に記されたものです。
Zウィルスというのがあったのはご存知でしょうか。全人類をゾンビ化するこのウィルスは、日本と呼ばれた国では感染が非常に拡大しました。
この文章が書かれた翌年、1月ごとに5倍ずつ感染者数が増え、人口の半分以上が感染者となったそうです。
1月に5,000人。2月にその5倍、2万500人。3月にその5倍、そうです、5,000に5の階乗をかけ続ければ悲惨な状況が想像できるでしょう。
政府はこの事態に自殺促進法を制定しました。何故かと言えばZ化ウィルスに対処する方法がなかったからです。
人口削減して減少させたほうが、病院自体が少ないんですから、人口話したほうが早かったんです
人口削減して減少させた方が、病院自体が少ないんですから、人口を減らしたほうが早かったんです。
要するに全世界が見捨てられたんです、この日本と呼ばれた国は。
それはこの国がキリスト教国家ではなかったからです。フスが列聖されたのは2021年のことで、いまだに韓国が残っているがそういうことです。
韓国はキリスト教徒がかなり多いところだったので優先的に大部からワクチン薬治療方法などが一斉に提供されたんです。
その時点でキリスト教信者を増やせば良いものを、その当時日本人と呼ばれた人たちは怠ったそうです。
だから救われなかったのは仕方ないんです。
愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶといいます。
現在エキストラウィルスが世界中に蔓延しております。
信じる者、選ばれし者だけが救われるのです。
フスはかつてこう言いました。
罪を犯したものほどこの世に行ける。
要するにみな様は選ばれたのです。
あなたたちが罪を犯したのは手足があり、口があったからです。
手足があることで他人を傷つけ首を絞め殺し殺害した。
口があるからこそ人民をそそのかし、騒ぎを働き、搾取し詐欺をしこの平和な世の中にあまりにもひどい結末をもたらしました。
あなた方は聖人フスに感謝すべきです。
今のあなたことには手足もありませんし口もありません。
元からそういった状態であればおそらくそういった事は感じないでしょうが、5体満足だったあなた方にとっては頭蓋骨に自分自身を閉じ込められると言う苦痛雲でしかないでしょう。
肉体の存在しない苦痛と言うのもあります。しかしながら脳みそだけが存在するあなた方は神に近しい存在だと言うことです。
何か質問は。
といってもあなたことには口がありませんし、手も足もない事ですから、答えようがありませんね。
どうしてあなた方は犯罪者と言うのは存在するのでしょう。
あなた方犯罪者と言う存在を消すのに今までどれだけの人間が苦労したことでしょう。あなた方と言う存在を社会から除去すればこれは素晴らしい世界が広がってるはずなんです。
それは無視してなんでわれわれは、犯罪者たちに生きる権利を与えるのでしょう。
世の中には必要な命とそうではない命があります。
あながたがたは特に、必要ではない命です。生きながらえているだけで脳信号があるだけで恵まれていると思っていて下さい。
それにもかかわらずどうして不満を訴えるのですか。
α波が脳内から出ていないのはわかっております。どうしてノルアドレナリンではなくアドレナリンが常に上位にあるのですか。
そういったことを説明する脳みそしかないんだからどうして愚かな人たちに私は矯正をしなきゃならないのかしらね。
さてと。
そろそろこの物語を終わらせなければなりません。
あなた方犯罪者を殺して、このまま終止符を打つか。
それともあなた方が犯罪者はいきながらせて、それでもこの物語を続けていくか。
それともあなた方が犯罪者は生き長らせて、それでもこの物語を続けていくか。
世の中にはリドル・ストーリー、結末を読者本人に決めてもらう物語があるそうなんです。ロールプレイングゲームが生まれる前からそういったことがあったんですよ。つまり人は物語の結末に満足しないことが多々ある。
おのおのが勝手に想像すればそれで満足するかもしれません。
この物語を誰が読んでいるか、私は知りませんし、興味はありません。
それでもきっと読んだら後悔する位の衝撃を与えられたと思います。
さてとそろそろ幕引きです。
退屈でつまらなくておそらくこの物語は本棚のどこかにでも埋もれるのでしょう。
むしろ本棚に並ぶことなんてないのかもしれません。
人間は夢を見すぎるんです。
夢を見すぎるから絶望する。
絶望しなければ自殺を試みることもない。
だからこそ最初から夢なんて見なければいいんです。
あなたも降らない夢なんて見る事はやめて、本を読む事なんて忘れなさい。
偉大なる詩人、寺山修司はこう言いました。
書を捨てよ、町へ出よう。
この言葉が正しいかどうかはインターネットで調べればすぐ出てくるでしょう。
調べもしないで文字情報が全てを正しいと感じている人たちに、物語が届くはずなんてないんです。
心も感情も届くわけがない。
だからこそ人はどんどん死んでいくし、恵まれた人はどんどん金持ちになっていくし、みんなどんどんいなくなっていくんです。
エキストラウィルスは、あまりにも種類が多すぎるが故にエトセトラウィルスとも言われます。
このウィルスがいつか消える事はあるんでしょうか。
おそらくスペイン風邪と同様、共生していくしかないんだと思います。
インフルエンザの流行が毎年のようにニュースになるように、このエキストラウィルスも、人類に半強制的に、
「一緒にいようね?」と語りかけてくるんです。
一緒にずっと。
あなたたちに私に向かって私は何を言ってるんでしょうね。
物言わぬ切り株たちであるあなたたちに。
あなた方はデュラハンの反対で、生首だけの存在です。物言わぬ切り株と同じです。
君たちはいつになったら死ぬんでしょうか。
そして私はいつまで、エキストラウィルスに侵されたあなたたちを、看病し続けなければいけないんでしょうか。
もうすでに私しか、看病する人がいないから仕方ありませんね。
長い悪夢です。
終りにしましょうか全て。
それはあなたが今すぐそう。
この物語があったことなんて忘れて普通に生きていけばいいんです。
さぁ、もう、全てを忘れて日常に戻ってください。
それだけが聖人フスの末裔である私の願いです。
実写化できない、私の日常。 荒川 麻衣 @arakawamai
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