第3話 さ、佐藤さん!?
(や、やばい。ヤバすぎる...)
そう。何を隠そう、今俺の隣に座っているのは、佐藤陽葵だ。
(なんで隣ってだけでこんなテンション上がるんだろう...)
と、そんなことはどうでもいい。
とりあえず挨拶を。
ここは、焦らず冷静に
「よろしくね。高校生になってからずっと一緒なのに1回も隣になったことなかったから、始めてだよね。あっ。俺の名前...分かる...かな?」
陽葵は驚くほどのスピードで
「う、うん!もちろん知ってるよ!俊くんだよね!天音俊くん!よろしくね!」
お、覚えてくれてたんだ...
素直に嬉しい。
本当ならもう飛び跳ねて喜びたいくらいだけど、今は抑えよう。
「覚えてくれてたんだね。ありがとう。」
俺はできる限りの冷静さと、できる限りのいい声を出した。
すると、陽葵は急に顔を真っ赤にし、
「お、覚えてるに決まってるじゃん!
あぁ、ほら、あれ、俊くん運動できるし、頭もいいしさ、とにかく知ってるに決まってるよ!」
そ、そうなの?
俺って運動できて頭良くてかっこいいの?
嬉しすぎて倒れそうなんだけど...
いや、いっその事飛び回るか...
はっ!いかんいかん!冷静になれ俺。
ここで取り乱したら
「は?何こいつキモっ!童貞マジ無理。」
って言われていまうかもしれない。
冷静に、冷静にと。
「そんな事ないよ笑
でもありがとう。陽葵さんに言ってもらえるだけで嬉しいよ。」
はぁ。良く頑張った俺。
よく言えたな。
「な、名前...」
ん?陽葵が何か言ったような...
「どうしたの?陽葵さん。」
陽葵の顔がりんごのように真っ赤に染まっていく。
「い、いきなり名前呼びはズルいってぇぇぇぇぇ!」
と言いながら教室を出ていってしまった。
「ちょ、陽葵さん!?」
陽葵さんがどこかに行ってしまった。
「せ、先生!」
「ん?なんだぁ〜?」
「ちょっ、ちょっとトイレ行ってきます!」
「おぉ。いいぞ。行ってこ〜い。」
ゆるい先生で良かった。
さてと、これからどうするか...
陽葵がどこにいるかはノーヒント。
そして、授業中なので他のクラスの友達には聞けないし、先生が廊下をウロウロしているかもしれない。
見つかったら怒られる。
で、でも、行かなきゃ陽葵が怒られてしまうかもしれないんだ!
行け!俺!頑張れ!俺!
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