第六話 伝頼鳥
どこの部署だろうかと身構えた文輝に
「
左尚書というのは
その王意を汲んだ任用によって現在左尚書令を務めているのは文輝もよく知る人物で、
棕若――文輝は敬愛の意を込めて幼い頃から
宛先を尋ねると「焦るな。まぁ待て」と戦務長は彼の執務机の脇から折り畳みの
裏表のなく、年頃の少女らしい可憐さを持った彼女の表情には戸惑いが浮かんでいる。そのことに幾ばくかの罪悪感を覚えながら、それでも文輝は不安を持て余していた。
「小戴殿、今朝はどうかしたのですか?」
「
「
伝頼鳥の届く範囲に制限はない。城下は勿論、中城、
今がその特別な場合だ、というのは言われずともわかる。だからこそ、その状況が何かが起こっている、という不安を後押ししていた。伶世の持ってきた茶の味もわからないほど緊張している文輝を安堵させるように戦務長が笑う。
「小戴、案ずるな。お前が心配しているようなことは何もない。お前は何も考えずに左尚書に行って帰ってくればいい」
「わかっています。上官の命に背くほど私は身勝手ではありません」
今の文輝には
通信士が左尚書からの返答を持ってきたのはそれから
「
「小戴、
「岐崔には
戦務長――
九品と一括りにしてもその中には家格がある。戴家は三位、孫家は六位だ。たとえ文輝が中科生だといえども戴家の子息であるという事実は消えない。文輝を蔑ろにするのは戴家を侮るに等しい。だから、文輝を
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