第二章 濃紅の文
第五話 右官府と左官府
この法は四代
警邏隊は
誰にでも出来ることこそ手を抜くなと父から繰り返し教わっていた文輝は昼勤の誰よりも早く
既に習慣と化した清掃を終え、文輝が伝頼鳥の宿箱を開く頃に上官たちが登庁してくる。伝頼鳥は鳥の姿をしているが、夜間でも飛行することが出来る。夜間には中城と城下をつなぐ城門が閉ざされる為、夜間警邏の
警邏隊の執務室、その末席に文輝の机がある。籠を置き、硯箱を取り出そうとしていた文輝の名が不意に呼ばれる。その声に顔を上げると上座で戦務長――事務仕事の総括を担っている――が文輝を手招きしていた。
「
言って戦務長が一通の文を取り出す。他部署へ送る文は必ず送り手の部署の色――
文輝は慌てて上座へと走る。
「戦務長、鳥ではなく私が運ぶのですか?」
「そうだ」
「左官府のどちらへ?」
左官府は文官府で、西白国の
首府防衛の
武官の殆どが
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