射手
バアルイヴィルダーに近づいた響は、レライエマグナムのグリップの部分で殴りかかる。しかしバアルイヴィルダーは両腕で防御することで攻撃を防いだ。攻撃を防がれた事を確認した響は、すぐさま後ろに跳ぶと、レライエマグナムの引き金を引く。
発泡された三発の弾丸をバアルイヴィルダーは、両腕で弾丸を防ぎながらも前に進んで行き、響との距離を詰めていく。そして接近したバアルイヴィルダーは、連続で殴りかかる。襲いかかる攻撃を響は片手で防ごうとするが、一発は防ぎきれず食らってしまう。
「っく……」
響は衝撃を和らげるために咄嗟に後ろに跳ぶ、そして床を転がりすぐに立ち上がり、バアルイヴィルダーを見据える。
バアルイヴィルダーに照準を定めた響は、レライエマグナムを発砲する。発射された五発の弾丸は、飛来してバアルイヴィルダーの元に向かっていく。バアルイヴィルダーは横に転がることで回避しようとするが、五発の内三発はバアルイヴィルダーに命中し、残りの二発は外れた。
「ふん、これでもくらえ!」
バアルイヴィルダーはデモンギュルテルに装填されたイヴィルキーを一度押すと、響に向かって両腕を向ける。
〈Unique Arts!〉
デモンギュルテルから起動音が鳴り響くと同時に、バアルイヴィルダーの両手から雷撃が発生し、響を中心として広範囲に降り注ぐ。響は反射的にに雷撃を回避しようとするが、雷撃の放たれた範囲は広く回避しきれなかった。
「ぐ……」
雷撃を食らってしまった響の体からは、焼けた肉のような臭いと黒煙が発生するが、響は口を噛み締めて痛みを耐えきる。
痛みと感電に震えながらも、レライエマグナムの照準をバアルイヴィルダーに合わせた響は、銃弾を発射する。放たれた三発の弾丸はバアルイヴィルダーに向かっていくが、外れてしまいバアルイヴィルダーの足元に全弾命中し、煙を上げるだけに留まる。
放たれた弾丸のせいで一瞬動きを止めてしまうバアルイヴィルダーであったが、響に向かって走り出し距離を縮める。
「これもくらえ!」
近づいたバアルイヴィルダーは電撃を纏わせた拳を、響に向かって殴りかかる。襲いかかる攻撃に響はレライエマグナムで防御するが、レライエマグナムを伝って雷撃が襲いかかる。
動きを一瞬止めてしまった響へ、バアルイヴィルダーは横蹴りを腹に向かって叩き込もうとする。咄嗟に響は防御しようとするが、先程の雷撃で体が痺れてしまい攻撃を食らってしまう。
蹴られた響の体は後方に吹き飛んでいき、そのまま体育館の壁に叩きつけられてしまう。背中を襲う痛みに耐えながらも、響はレライエマグナムの引き金を引く。放たれた五発の弾丸は、全てバアルイヴィルダーの体に命中する。
弾丸のダメージでバアルイヴィルダーが怯んだ隙に、響はデモンギュルテルに装填されたイヴィルキーを一度押し込む。
〈Unique Arts!〉
「行けぇぇぇ!」
デモンギュルテルから起動音が鳴り響くと共に、響の背後に二門のガトリング砲が生成される。そしてガトリング砲は回転すると、バアルイヴィルダーに目掛けて弾丸を乱射する。
まるで鋼鉄の嵐の如く乱射される弾丸に、バアルイヴィルダーは回避もできず防御を専念せざる負えなくなる。防御の上を削り取るように弾丸が飛来し、バアルイヴィルダーの全身から少しずつだが出血していく。
そしてバアルイヴィルダーの体から、二つのイヴィルキーが排出される。イヴィルキーを見た響は、走り出すとすぐさまイヴィルキーを拾い上げるのだった。
「これは返してもらうぜ!」
響の手にはアンドロマリウスのイヴィルキーと、ハルファス・マルファスのイヴィルキーが握られていた。
アンドロマリウスのイヴィルキーをしまった響は、ハルファス・マルファスのイヴィルキーを起動させる。
『ふむ、次はお前たちの番だな。ハルファスにマルファス』
〈Halphas Malphas!〉
「憑着!」
〈Corruption!〉
デモンギュルテルから起動音が鳴り響くと、デモンギュルテルの中央部が観音開きとなり、そこから黒と白の鳥が飛び出すとバアルイヴィルダーに向かって襲いかかる。二羽の攻撃にバアルイヴィルダーの体からは二つのイヴィルキーが排出された。
そのまま黒と白の鳥はイヴィルキーを咥えると、響の手元にイヴィルキーを落として響の体と融合する。そして響は鳥の意匠を持つ黒と白のシンメトリーの異形ハルファス・マルファスイヴィルダーへと変身した。
「さあ第三ラウンドだ、まだまだショーは終わらないぜ!」
響は二つのイヴィルキーをしまい込むと、ジャンプしてバアルイヴィルダーに近づいていく、そしてバアルイヴィルダーの前に着地すると横蹴りを放つ。だがバアルイヴィルダーも即座に横に移動して回避する。
攻撃を回避された響は即座に片足でジャンプすると、バアルイヴィルダーの背後に着地して、回し蹴りで攻め込んでいく。後ろからの攻撃にバアルイヴィルダーは咄嗟に体を反らして回避するが、体勢を崩してしまうのだった。
間髪いれずに響は再びジャンプすると、今度はバアルイヴィルダーの頭を踏みつけるように着地する。
「貴様……」
足蹴にされると思わなかったバアルイヴィルダーは、怒りをにじませたような声を上げるが、響はそんなことも気にせずに続けて飛ぶようにジャンプしていく。
バアルイヴィルダーから距離をとるようにジャンプしたかと思えば、すぐにバアルイヴィルダーの真下に着地し踏みつけ、時にはバアルイヴィルダーの背後に着地して後ろから殴る。
縦横無尽にジャンプして戦う響の動きに、バアルイヴィルダーは対応できずに圧倒され、攻撃を受ける回数も増えていく。そして空高くに飛んだ響はバアルイヴィルダーに向かって両足蹴りを叩き込んだ。
両足蹴りをくらったバアルイヴィルダーの体は吹き飛んでいき、その体からはイヴィルキーが三つ排出される。すぐにイヴィルキーを回収した響は、両腕を振って羽を矢のごとく何本も発射する。放たれた羽はバアルイヴィルダーの体に突き刺さり、小さいながらも穴を幾つも開ける。
「はぁー!」
さらに追撃するように響は倒れているバアルイヴィルダーに向かって、宙返りをしながらも頭に向かって蹴る。防御するバアルイヴィルダーであったが、衝撃までは殺せず膝を着いてしまう。
そのまま素早い動きで響はバアルイヴィルダーの背後をとると、そのまま両腕で脇の下を通して拘束する。そしてそのまま後ろにブリッジして、バアルイヴィルダーの頭を床に叩きつけた。
即座にバアルイヴィルダーの拘束を外した響は距離をとると、大きくジャンプして空中で右膝を曲げる。そしてバアルイヴィルダーの首に目掛けて、膝をギロチンのように叩きつけた。
「かは……」
首を襲ったギロチンドロップに、苦悶の声を上げてしまうバアルイヴィルダー。さらに体からはイヴィルキーが一つ排出されるのだった。
追撃とイヴィルキーの回収を兼ねて響は、素早く倒れているバアルイヴィルダーの両足を掴むと、そのまま自分の体を軸として大きく回転していく。まるで竜巻のごとく回転した響は、バアルイヴィルダーの体を壁に向かって放り投げた。
勢いの乗ったバアルイヴィルダーの体は、吹き飛んでいき壁に叩きつけられる。巨大なクレーターを作った壁には倒れたバアルイヴィルダーがいた。さらに足元には四つのイヴィルキーが落ちていた。
「マジか!?」
イヴィルキーが排出されていたことを確認した響は、すぐさまジャンプしてイヴィルキーを回収しようとする。響がイヴィルキーを取ろうとした瞬間、バアルイヴィルダーの腕が動き、響の首を絞めつけるのだった。
――バアルイヴィルダーが所持するイヴィルキー、残り五十九
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