赤き豹よ戦え
〈Demon Gurtel!〉
イヴィルキーを取り出した豊崎千歳の腰に、デモンギュルテルが生成される。
そして手に持ったイヴィルキーに軽くキスをした豊崎千歳は、イヴィルキーを起動させるとデモンギュルテルに装填するのであった。
〈Gomory!〉
「憑着」
〈Corruption!〉
起動音が鳴り響くとデモンギュルテルの中央部が観音開きとなり、中から砂嵐が巻き起こり豊崎千歳を包み込む。
そして完全に豊崎千歳を包み込んだ次の瞬間、砂嵐は消滅するとそこに立っていたのは、腰に宝石を散りばめてまるで踊り子のような露出の高い姿をした異形、ゴモリーイヴィルダーであった。
「クスクス、さあパーティーを始めましょう」
ゴモリーイヴィルダーは命令を発するように右腕を上げると、マルコシアスとウヴァルが響に向かって襲いかかる。
響は攻撃を捌いて前に進もうとするが、二体の異形の攻撃は執拗で前に進むことができない。
「っち、しつこいんだよ!」
苛ついた響は近づいてくるマルコシアスに向かって回し蹴りを叩き込む、しかしその隙にウヴァルが後ろから羽交い締めを仕掛ける。
後ろから拘束された響は振り払おうとするが、その前に立ち上がったマルコシアスが殴りかかる。
マルコシアスによって執拗に殴られる続ける響であったが、十発目のパンチを食らった後にジャンプすると、そのままマルコシアスに向かって蹴りを放つ。
蹴られた衝撃で後ろに倒れ込んだマルコシアスを確認した響は、羽交い締めしているウヴァルを振り払うために足を全力で踏みつけると、そのまま力づくで拘束を解き放つ。
そしてそのままジャンプすると、回し蹴りをウヴァルの首に叩き込むのだった。
「レッグラリアート!」
レッグラリアートを叩き込まれたウヴァルの体は宙に浮き、そのまま後頭部から地面に叩きつけられる。
着地した響の後ろを狙ってマルコシアスが襲いかかるが、紙一重で回避してゴモリーイヴィルダーの元へ響は走り出す。
「でりゃあああぁぁぁ!」
勢いよく距離を詰めた響は、ゴモリーイヴィルダーに向けて掌底を放つ。しかしその攻撃をまるで踊るかのように回避すると、カウンターとして手刀を首に放つのだった。
首に鋭い一撃をもらった響は、首を押さえながら地面に倒れ込むと転がっていく。
「っく……」
響はすぐに立ち上がろうとするが、後ろからマルコシアスが無理やり響を立たせると、掴みかかりそのまま殴りかかる。
一発、二発、三発、と連続で殴られ続けるが、響が放ったヤクザキックによって、マルコシアスは壁に叩きつけられる。
「グルルルルルル!」
唸り声を上げたウヴァルが響へ襲いかかるが、両手で攻撃を捌いてそのまま体を持ち上げると、ゴモリーイヴィルダーに向けて放り投げる。
空中に放り投げられたウヴァルの体は、勢いよくゴモリーイヴィルダーに向かって行くが、ヒラリと回避されて木に叩きつけられる。
「あらあら、激しいですわね」
楽しげに笑うゴモリーイヴィルダーだが、そんなこと関係ないと言わんばかりに響は殴りかかる。
放たれる連続攻撃をゆらりと、流れる水のように回避していくゴモリーイヴィルダー。
続けて攻撃を放ち続ける響であったが、攻撃は一切当たらない。テンポを変えてキックも混ぜる響であったが、それさえも当たらない。
「クソ当たらない……」
攻撃が当たらないことについて苛立ち、嫌な顔をする響。そんな様子さえもゴモリーイヴィルダーは楽しげに見続けるのだった。
連続で攻撃を放ち続ける響を妨害しようと、マルコシアスとウヴァルが後ろから襲いかかるが、響は振り向かずに後ろに肘鉄を放ちマルコシアスを迎撃して、ウヴァルの攻撃を紙一重で回避するのだった。
「これならどうだ!」
ゴモリーイヴィルダーとウヴァルに目掛けて響は口を大きく開くと、人を焼き殺すほどの激しい炎を吐き出す。
前に出たウヴァルは主たるゴモリーイヴィルダーを守るように盾となり、炎を受け止めるが耐えきれなかったのか、途中で倒れ伏してしまう。
炎を防いでくれる盾がいなくなったことでゴモリーイヴィルダーは、逃げるように後ろに下がって炎を回避する。
「あら、倒れるなんてダメですわね……」
「そうかい? こっちとしてはありがたいぜ」
ゴモリーイヴィルダーの呟きに、嬉々として反応する響。そのままデモンギュルテルに装填されたイヴィルキーを二度押し込む。
〈Finish Arts!〉
デモンギュルテルから起動音が鳴り響くと、響の右足が炎に包まれていく。
そして立ち上がったウヴァルに向かって走り出すと、途中でジャンプして炎を纏った踵落としを放つ、そしてもう片方の足で蹴り飛ばすのだった。
炎をまとった踵落としを食らったウヴァルは、苦しそうな声を上げると大きな爆発を起こすのだった。そしてウヴァルが立っていた場所には、ウヴァルのイヴィルキーが落ちていた。
ウヴァルを倒したことを確認した響は小さくガッツポーズをすると、落ちているウヴァルのイヴィルキーに駆け寄るとすぐさま拾い上げるのだった。
「あらあら、やられちゃったわね」
「やられたで済むと思うのか?」
響は挑発的な言い方をしながらも、ゴモリーイヴィルダーを睨みつける。しかし何処吹く風と言わんばかりに楽しげに笑うのだった。
そうしている内にマルコシアスが唸り声を上げながら、響に向かって飛びかかってくる。
しかし響は飛びかかってくるマルコシアスを受け止めると、そのまま地面に叩きつけて、体重を込めて足で踏みつける。
「グガ!?」
みぞおちを踏まれたマルコシアスは、苦しむような声を上げる。
そのまま響は勢いよくマルコシアスの顎に向かって全力で蹴りつける。蹴られたマルコシアスの体は、吹っ飛んでいき校舎の壁に叩きつけられる。
叩きつけられたマルコシアスが立ち上がろうとするが、響は簡単に立ち上がらせまいと走り出し、首根っこを片手で掴み無理やり立ち上がらせる。そして空いた片手でがら空きとなっているみぞおちを殴りつけるのだった。
何度も殴りつける響であったが、マルコシアスも攻撃を防ごうと両手を動かして防御する。
しかし響は首を掴む手を離すと、そのままマルコシアスの腰を両手で後ろに回してホールドする。
「うおりゃあああぁぁぁ!」
そのままの体勢で響は勢いよく後ろにブリッジすると、マルコシアスの頭を地面に叩きつけるのだった。
フロントスープレックスを食らったマルコシアスは地面に大の字で倒れ込むが、その隙に響は体勢を立て直すと、右腕の手の甲から四本の鋭い爪を展開する。
そして倒れているマルコシアスの胸に爪を突き刺すようにストレートを放つのだった。放たれたストレートはマルコシアスの胸を貫き、手首まで体に貫通する。
「ケエエエエエエェェェェェェ!」
雄叫びを上げた響は勢いよくマルコシアスの胸から腕を抜き取ると、それと同時に傷口から大量の血が噴出する。
大量の返り血を浴びた響の体は、黒ずんだ赤色に染まっていくのだった。
まるで噴水のように傷口から血を吹き出しているマルコシアスは、断末魔を上げることもなく爆発を起こすのだった。
爆発に飲み込まれる響であったが、微動だにせずに突っ立ていながらゴモリーイヴィルダーを睨みつけていた。
響の足元に爆風で飛んできたマルコシアスのイヴィルキーが転がってくるが、響は反応せずに構えを取る。
「ああ、良いわその目、もっと私を見て欲しい!」
鋭い目で響に見られているゴモリーイヴィルダーは、まるで絶頂したかのように両手で体を抱きしめると、ゾクゾクと震えるのだった。
そんな様子の彼女を汚いものを見るような視線を向ける響は、右腕の爪を収納するとそのまま構えを取る。
「おりゃぁぁぁ」
素早く殴りかかる響だが、ゴモリーイヴィルダーも簡単に攻撃を避けていく。逆にゴモリーイヴィルダーのパンチが、響のみぞおちに深く突き刺さるのだった。
みぞおちを襲う痛みに苦悶の声を出す響であったが、すぐにゴモリーイヴィルダーに向かって蹴りを放つのだった。
防御するゴモリーイヴィルダーだが、叩きつけられた衝撃までは防げなかったのか、バランスを崩してしまう。
「ケエエエエエエェェェ!」
そのまま響は距離を詰めると、ゴモリーイヴィルダーの頸動脈に向かって噛み付くのだった。
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