視られ嬲られる
響とカイムイヴィルダーが戦った日の翌日、響と達也、結奈は千恵のセーフハウスに集まっていた。
集まった理由は響が新聞部の部長から手に入れた、響の戦闘している写真についての情報共有のためである。
「第一回響君盗撮されていた会議、始まるよー!」
「……」
「……」
「ちょっと、そこまで元気でない議題ですよ加藤さん」
雰囲気を明るくしようと声を上げる響、しかし達也、千恵は議題を聞いて無言で空気を暗くするのであった。
結奈だけは一人響にツッコミを入れるが、この場合は彼女が空気を読めないからである。
「まあそう言わないでくれ青樹さん、俺としてもこうでもしないとやってられないからさ」
「それより響、内容を説明してくれ」
「OK達也、とりあえず資料としてこれを見てくれ」
そう言った響は懐から輪ゴムでまとめた写真の束を机に置く。
無造作に置かれた写真の束は、置かれた衝撃で机が揺れる程の量であった。
写真の束を見て達也達三人は怪訝な視線を向ける。
「んじゃ、これを回しまーす」
「いいの加藤くん?」
「問題ないですよ、どうせ全部俺が戦っているシーンの写真ばかりですし」
そうやって響は達也達三人に写真を三等分して、それぞれに渡す。
渡された写真を黙って見出した三人の表情は、徐々に気味の悪そうな表情へと変化していく。
写真は響が戦っている姿ばかりで、まるでそれだけが見たいように思わせるのだった。
「なあ響、写真がまるでパラパラ漫画みたいに連続しているんだが……」
「知らん、俺に聞かないでくれ」
「あの加藤くん、どの写真も加藤くんがカメラ目線じゃないのは……」
「全部確認しましたけど、たぶん盗撮ですね」
「加藤さん加藤さん、この写真新聞部の部長が持っていたんですよね。つまり新聞部の部長はその……加藤さんのことが好き?」
「止めてくれ考えたくもない」
響は達也達三人の質問に冷静に答えていく。しかし結奈の質問のを答える際には、気色悪い想像をしてしまったのか顔色が悪くなっていた。
顔色の悪くなった響を励ますように、背中を優しく撫でる千恵であった。
「まずな、俺の盗撮写真があるってことは、女子の盗撮写真がある可能性も考えろよ」
響の推察を聞いた千恵と結奈は顔を青くして、男勢から見られないように両手で体を隠す。
達也も想像がつかなかったのか、それは考えつかなかったと言わんばかりの表情をしていた。
「ちょっとごめん皆、先生今から新聞部の部長のスマートフォンやパソコンを調べてもらうように手配してくるから」
「桜木先生ついでに口座情報も調べられますか?」
「確かに誰かに売っていたら、おかしな動きもしてそうね調べてもらうわ」
そう言うと千恵は警察に連絡するために、部屋を後にするのであった。
部屋に残された響、達也、結奈の三人は、緊張が解けたのかため息を付いて姿勢を崩し始める。
響達は自分たちの席の前に置かれたお茶の入ったコップを持つと、それぞれ口に含むのであった。
響は一気にお茶を飲み干し、達也は小さく一口飲み、結奈は何回かに分けてお茶を飲むのであった。
「加藤くん少しいいかい?」
三人がいる部屋に金髪の美丈夫クスィパス・メンダークスが顔を出す。
いきなり部屋に入ってきた事に驚いた三人は、慌てて姿勢を正して椅子に座り直す。
「どうしたんですか、メンダークスさん」
「ちょっと話したいことがあるんだけど時間いいかな?」
響はチラリと達也と結奈の方に視線を向けるが、二人は問題ないといった表情で無言で返事をする。
千恵もすぐに部屋に戻ってこない様子のために、響はメンダークスに付いていくことを決める。
「わかりました、少しぐらいなら……」
「ありがとう」
響の返事を聞いたメンダークスは、ニッコリと見惚れそうな笑みを見せて「ついてきたまえ」と言って部屋を後にするのであった。
メンダークスに案内された響は、様々なダンボールが山積みとなった部屋に案内される。
響が最初にイメージしたのは、まるで刑事ドラマなどに出てくる資料室であった。
そしてメンダークスが「これを」と言ってあるものを見せつける、それは大きめなサイズの三つのトランクであった。
「これは?」
「これはね、君が回収したイヴィルキーを保管しているトランクだよ」
そう言ってメンダークスは、トランクを次々と開けていく。
中身が開かれたトランクには、かつて響が回収したイヴィルキーが収められていた。
しかし全てのイヴィルキーが収まっておらず、全部のイヴィルキーを回収しきれてないことがうかがえる。
「しかし君のおかげでイヴィルキーの集まりはいいペースだ。後一年もあれば全部集まるんじゃないか?」
メンダークスは響をおだてるように言うが、響はメンダークスのことが苦手であった。
まるで貼り付けたような優しそうな笑みと、一線を引いたような態度、そしてまるで人を別のようなものとして見る視線が苦手なのだ。
「はぁ、ありがとうございます……」
苦手なメンダークスと話しているせいか、普段と違いはっきりとした喋り方ではない響であった。
「ふむ? まあいい。それよりも全てのイヴィルキーが集まったら君はどうしたい?」
「は?」
「かの王ソロモンは全ての魔神を従えて大いなる知恵を授かった。では君は何を望む?」
まるでオペラの主演のように腕を派手に動かし、響に問いかけるメンダークス。
問いかけられた響の答えは一つであった。
「家族の平和と無事を望みたいです……」
それを聞いたメンダークスの表情は、一瞬失望したかような表情をするが、すぐに貼り付けたような笑顔を見せる。
「もし私が望めるのであれば、私はもっと世界は広くなれと願うよ」
呆然としている響をよそに、メンダークスは一人で話し続ける。
「魔術もアストラル界も、
まるで独裁者の演説のように腕を振り回し力説するメンダークス。
その様子を見て響は、一歩後ろに引くのであった。
「加藤くんこっちは話し終わったわよ~」
「あ、今戻ります。んじゃ俺はこれで……」
運良く千恵から呼ばれた響は、表面上は申し訳無さそうな顔をしながらも部屋を後にするのであった。
新聞部の部長についての調査結果は、また後日ということで解散となった。
家に帰った響は自室のベットに寝そべると、今日のメンダークスの言葉を思い返していた。
「公開されるべきねぇ……」
「どうしたんだい響?」
ボソリと呟いた響の上に、キマリスが押し倒すように上に乗っかる。
一瞬顔を赤らめる響だが、何度も密着させるキマリスに慣れたのか、すぐに平常を取り戻す。
「なあキマリス、もしメンダークスさんが言ったように他の世界が公開されたらどうなる?」
「僕には未来は読めないけど、ろくなことは起きないと思うよ」
響の質問にキマリスは、ニッカリと笑い返答するのであった。
「それよりさ響、こうして女の子が密着してるのに何も無しかい?」
キマリスは寝転んでいる響の両手を掴むと、響の顔を覗き込む。
男であれば見惚れそうなほどに整ったキマリス顔が近づき、心臓の鼓動が早くなっていく響。
「ねえ響、口を開けて……」
まるでねだるように言ったキマリスは、同じく口を開けると響の口によだれを垂らす。
キマリスのよだれを飲み込んだ響は、理解が出来ないのか体を暴れさせる。
しかしキマリスによって腕を掴まれている響は、もがくことしか出来ない。
「可愛いなぁ響は、だから僕が
まるで捕食者のような笑みを浮かべたキマリスは、動けない響に顔を近づけると、首筋に軽くキスをする。
そのまま逃げられないよう両足を絡めて、響の下半身には下着が見えるようにミニスカートをこすりつける。
響が体を強張らせれば、全身に力を込めるキマリス。
「はむ……れろ……」
動けない響の首筋を舐め回し汗の味を楽しむキマリス、逆に響はキマリスが舌を動かすたびに感覚に悶えるのだった。
そのままキマリスにいいようにされる響は、結局琴乃が晩ごはんが出来たと呼びに来る三時間の間、彼はなぶられ続けた。
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