[1210dd]成宮誠次の日記。

(兄の)勇樹は母さんが(妹の)希望を妊娠してから周りへの当たりがきつくなった。

今になって分かるけど、その頃勇樹は10歳。性教育の授業が始まった頃で、子供をどう作る方法を知り始めた頃だったんじゃないかと思う。クラスメイトにもからかわれていたみたいで、家族とも、これまで仲良くしていた友達とも、ケンカすることが多くなった。

オレはいつも苦労している母さんや(単身赴任で)滅多に帰って来ない父さん、産まれたばかりの希望にキレてばかりいる勇樹が嫌になって、それからほとんど話すことはなくなってしまった。

でも亜蘭と菊ちゃん、師匠を見てて、このままでいいのかなって思うようになった。

どんなに大切でも理不尽に引き裂かれて会えなくなることもある。

勇樹のことは嫌いだけど、突然居なくなってしまったら、それはそれで悲しくはなるし、絶対に後悔すると思う。

勇樹が変わらない限り、嫌いだってことは変わらないだろうけど、後悔はしないようにしたいな。

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