[1208dd]白龍亜蘭の日記。

兄貴には幽霊が見えないと思っていた。

生まれつき退魔力の高い兄貴には幽霊は近付くことができないからだ。

霊媒体質のオレもそんな兄貴と一緒に居れば怖いものを視ることもない。兄貴の傍に居るといつも安心できた。オレが連れてきてしまった幽霊も、兄貴の傍に行けば消えてなくなっていた。

だけど兄貴が居なくなってからオレに憑いたお弁は消えなかった。それどころか兄貴はお弁と普通に会話をしていたから驚いた。

兄貴は幽霊を視えていて、祓うかどうかを選んで決めているのだという。だからお弁や家に居る守護霊は祓うことはないということだ。

お弁や他の霊たちが消えてしまうのは嫌だったから、少しだけほっとした。

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