第78話
「じゃ、行ってくるね!」
手を振って出発。ん?振った手に、指輪が二つはまっているのが目に入る。
「そうだ、おばばさんに見せるためにはめてみたんだ……」
赤い石の指輪。邪魔だからはずそう。
「……」
……は、外れない……。
なんか、ほら、指がむくんで指が外れないとか、そういうレベルの外れないとかでない……。
「……」
土の精霊の契約の指輪系の、外れない感じに似てる……。
『あれ?ユキ、その赤い石の指輪、もしかして、サラマンダー様の?シーマがはめてたのにそっくり』
やだ、なんか不吉な話をディラがしてる。
聞かなかったことにしよう。そもそも会ってないし、見てもないし、契約してないし、関係ないよね。
と、とりあえず、何か拾っても身に着けないということだけ覚えておこう。
この世界、なんか不思議なアイテムがいろいろあるみたいだから。
「あ、ネウス君、ちょっとあの辺寄ってもいい?」
現実から逃避するために、幽霊さんがふよふよしているところへ移動して、手を合わせてからその足元を掘り起こす。
ネウス君も一緒になって地面を掘ると、ベルトや腕輪が出てきた。
『ああ、きっとダンジョン産のドロップ品だろうね。300年前の最終決戦では多くの人間が戦ったから。身に着けていた物がこの場にたくさん残っているんだろうなぁ。世界各国、すべての国が魔王討伐のために秘宝と言われるものまで持ち出した総力戦だったし、すごい逸品が埋まっていることもあるかも』
「ダンジョン産のドロップ品って、スライムを倒して出てくるポーションみたいな?」
『そうそう。何らかの効果がある品で、鑑定してみないと効果は分からないけれど、劣化もしないし人の手で壊すことはできない。モンスターが相手なら破壊されちゃうけれどね』
そうなんだ。
ネウス君が首をかしげる。ディラの声が聞こえないからね。
「うんと、貰ってもいいみたいよ?ベルト、ネウス君に似合いそう。ああ、それに、これ、剣を納める場所が付いてるよ?これなら、手に持たなくても剣を持ち運べるね」
腕輪は……デザインが微妙なので収納鞄にぽいっと。
てな感じで歩くこと2日。
なんか、ネウス君と一緒に街から歩いた時とは大違いで。色々な話をしながら、拾い物しながら気が付けばついてた感じだ。
「あっちだよ」
ネウス君が街をぐぐりと囲む結界?のある場所を目指して歩き出した。
そういえば、街からぽーんと放り投げられたので、近くの様子は全然分からなかったんだ。結界は、高さが3mほどの塀の上に伸びてる。
3mほどの塀がぐるりとまず街を囲っているようだ。
塀の一部ににドアのようなものが付いている。
そういえば、薬をもらいに行くためにネウス君は街を目指していたし、おばばさんは火が消えたら何かを渡して魔法で火種をもらうようなことも言っていたし、街の中の人間とのやり取りを何度かしたことがあるのかな?
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