第76話
「わかった。じゃぁ、皆でお供えしよう!」
ドンタ君の言葉に、魔力回復薬をモモちゃんとミーニャちゃんとドンタ君3人で1本、ダイヤみたいな石の前において手を合わせた。
「お供えいたします。お召し上がりください」
あ!もう今日はすでに飲んでるんだけど、仕方がない……。
『うひょーい!やった、やった』
石の前にすっ飛んでいき、供えられた魔力回復薬の瓶に抱き着くおじいちゃん。
「おさがりをいただきます」
と、ひょいっと瓶を持ち上げるドンタ君。
あ。
『ワシのじゃ、ワシの!何をする!』
そうだった。土の精霊には、中身を出してお供えすること、現物がなくなるからおさがりはいただけないことなどを説明。……してる間にも、おじいちゃんはお代わりを要求。でもって、えーっと、自然に減っているように見える魔力回復薬が面白くてモモちゃんがガン見。なくなると面白がってまたついでいる。
『ええ子じゃ。お主にも加護をあたえてやるぞ』
なでなでとモモちゃんの頭をなでるおじいちゃん。
土の精霊の加護……やっす!
どんな効果があるのか知らないけれど、でもあれだ。どうせほいほい与えるんなら。
「ノームさん、その魔力回復薬を作ってるネウス君やミーニャちゃんやおばばさんを加護しなくていいんですか?何かあれば作り手が失われますよ?」
『おお!そうじゃ!その通りじゃ。加護じゃ、加護。何かあってからじゃ遅いからの!土の精霊の加護があれば、100歳まで無病息災うむうむ。土の妖精たちが守ってくれる』
へ?
いや、意外とすごかった。加護。本当にそんな効果があるなら、この地で生きる人間にとってはすごい力だよね?
「じゃぁ、今日の分はこれで、これが明日の分で、念のため5日分置いていくね」
と、魔力回復薬を5本ミーニャちゃんに手渡す。
「5日分?ユキお姉さん、どういうことですか?」
「ああ、うん。街に行って売れるか試してみるね。売れたら、売ったお金で必要なものを買ってくるから。ネウス君一緒に行ってくれる?」
「もちろん、俺はユキとどこまでも一緒に行く」
『僕も、僕も地獄の底までついてく!』
ディラ、私できれば天国に行きたい。地獄に行くなら一人で行ってくれる?逝きそうにもないけど……。
「じゃぁ、準備をしましょう」
片道2日往復4日。念のため1日余分に5日分。2人が飲むものと食べる物。多少は荒野で得られるかもしれないけれど……。
「ローポーションがあれば水分も栄養も取れるから、1日3本の15本と」
って、瓶だもんなぁ。それなりの重量になるなぁ。4キロくらいか。うーん。どれくらいの重量持っていけるかな。10キロなら、なんとか行けるか。
とすると、食糧……は、ろくなものがそもそもないので、謎の葉っぱを干したやつとか。そうそう、すっぱいけれど、ビタミン取れそうだからレモの実をスライスしてドライフルーツにしてある。ヤムヤムの実のドライフルーツもある。2週間の間にマナナの実の収穫と並行して他の実を保存食として加工していったのだ。実は渋柿っぽいものも発見したんだ。食べられないとディラが言うけれど、もしかして干し柿にすれば甘くなるんじゃとイチかバチか実験中。風通しが良くて温度が上がりすぎない場所につるして干してある。それに、確か渋柿から作った柿渋ってタンニンがすごくいろいろな効果があるんだよね。防虫防腐に強度アップなど木と紙で作られる日本家屋や和傘なんかに活用されまくってきた。最近では、ノロウイルスにも効果があるって、殺菌効果も期待できる。口臭予防歯磨きにも入ってたり……。抗菌消臭防虫。なんか役立ちそうだよね。作り方はだいたい覚えてるけれど、実が青いうちに収穫しなくちゃいけないんで、今回は作れなかったけれど。
と、準備を進めていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます