第40話

 ネウス君を振り返る。

「ユキと一緒?俺は……ユキのものだから、ユキが望むなら」

 ネウス君が顔を真っ赤にして立ってる。

 いやいやいや、いやいやいや。ってか、なんで顔が赤いの?

「ミ、ミーニャと一緒に寝るといいよ。俺は外でいい」

 バタバタと手をふるネウス君。

 なんか、すごく私と一緒は嫌みたいですよ。昨日、荒野で一緒に寝たよね?収納袋から出したテントの中で一緒に寝たよね?

 ……もしかして、昨日、寝相が悪くて迷惑かけまくった?それとも、さっき素っ裸を見ちゃったから、照れてる?

 いや、眼鏡かけてないから、見たうちに入らないっていうのは私側の見解で、見られた方はたまったもんじゃないか。ごめん。ごめん。

「くっくっく、ネウスは同じ年代の女の子を見るのは初めてじゃからの」

 待って、待って、おばば、同じ年代って何?

 ネウス君は見た目18、9……もう少し上としても、大学生くらいだよね?成長期の途中って感じの体系してるもの。やせすぎて顔の作りとかじゃよく分からないけれど。

 私、実年齢30歳のおしゃれ無縁の喪女ですし、メイクなしだから若く見えると言われることがあっても、せいぜい20代…。いや、もしかすると、この世界の成人は15歳くらいなのかな?

 とすると、おばばの中での区分けって、子供、成人済みの若者、中年、老人?だとしたらぎりぎり中年逃れて若者という同じ区分か?

「しかもこんなにきれいなんじゃ」

 ま、お風呂に入ったのできれいですね。

 おばばの家……屋根があるだけの場所には、いつもはおばばとモモちゃんが一緒に寝ているそうだ。

 私は、ミーニャちゃんが寝ているという場所にお邪魔した。

 あー、今日も大変だった。

 んー、でもあんまり疲れてはいないんだよね。ローポーションを飲んだおかげかな?

 そういえば、ミーニャちゃんって美少女だ。お風呂に入ってできれいになったから美少女が現れた。ガリガリで、ただただ痛々しいと思っていたけれど、ローポーションのおかげか少しだけ肉もついているような感じになった。ああ、ミーニャちゃんはハイポーションも口にしてたっけ。

 他の子も、はじめに見た時は骸骨が皮をかぶっているだけのように見えていたけれど、今では細くてガリガリの人間にように見える。ローポーションすごいね。

 ディラにポーションのことを教えてもらおうと、ミーニャちゃんの方向に向けていた体を反転させ、剣を置いた側に視線を向け……。

 ふんぎゃーっ!

 目の前、ほんの30センチの場所に、ディラの顔!

 なんじゃ、イケメンが嬉しそうに笑っている。

『ユキと一緒に寝るなんて、恥ずかしいけど、嬉しいな』

 剣は確かに私の横に置いた。んだが、ディラは剣が寝かせられてようが立てられてようが、立っているはずなのに、なぜ、いま、寝転ぶ必要があるっ!

 そもそも幽霊に睡眠が必要なんて聞いたこともない。寧ろ、太陽が沈んでからがメイン活動時間だろう!

 楽しそうな顔してるディラにちょっとイラッとしてしまう。

 いくら幽霊といえども、こうして女性の横に平気で寝られる精神が信じられない。

 もしかしても、もしかしなくても、私のこと女だと思ってないよね?

 そりゃ、喪女だけど。女としても魅力に欠けるかもしれないけれど……。でも、平気で一緒の布団(布団なんてあるようなないような場所だけれど)で寝れちゃうほど全く女と意識されていないのは……さすがに、ちょっと傷つくんだよね。

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